2023年07月21日 1781号

【ジェンダーギャップ過去最低の125位/“政治格差・賃金格差”をなくそう/OPEN《平和と平等を拓く女たちの絆》山本よし子茨木市議】

 2023年「世界経済フォーラム」のジェンダーギャップ(男女の格差)報告で、ジェンダー平等の達成率が日本は146か国中125位と過去最低になった。

 政治的分野での格差は138位。国会議員(衆議院議員)の女性の割合は131位、女性閣僚の比率は128位、女性首相の在任期間ゼロという低さが反映している。

 今回も世界で1位になったアイスランドでは、首相は女性で、閣僚、議員の女性比率はともに4割を超える。日本では今年春の統一地方選で市議選当選者の女性割合が22%、東京特別区の区議では36・8%に達した。地方から政治を変えていく動きをさらに強め、クオータ制の導入で制度的な枠組みを作っていくことが待ったなしに必要だ。

 経済的な格差は123位。収入での男女格差が100位、管理的なポジションについている女性の割合は133位と、企業内の役員や管理職の女性の比率が低いことが指摘されている。

 1986年に男女雇用均等法が施行されて今年で37年になる。採用や昇給については「女性を理由に差別的な扱いはしてはならない」とされているが、実態はほど遠い。

 男女の賃金格差を見ていくと、日本はOECD(経済協力開発機構)加盟国中、韓国に次いでワースト2である。男性の賃金を100とした場合、女性の賃金はOECD平均で88・4、日本は77・5である。日本で賃金格差が大きいのは、女性の非正規労働者が多いからである。2022年の労働者数は6902万人、非正規労働者は1697万人、うち女性は1233万人と7割以上を占める(総務省労働力調査)。

根底に正規 非正規格差

 せめて、正規と非正規労働者の賃金の格差が少ないヨーロッパのレベルに、同一労働同一賃金の原則を徹底させなければならない。とりわけコロナ禍で、女性の非正規労働者が多数を占める販売や飲食、サービス業などが直撃を受け、多くの女性は雇用までも奪われることになった。

 女性の低賃金は、一生を通じての貧困化につながる。低賃金が退職後の年金額に直結するからだ。「35年間厚生年金に加入してきた。ずっと働いているが、給料は男性と格差があって、年金は月10万円しかない」とある高齢女性は嘆く。

 物価が高騰しても年金は上がらず、家賃や食費、水光熱費等を支払うと生きていくだけでぎりぎり。こうした生活を強いられている高齢者の根底にあるジェンダー格差をなくしていかなければならない。

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