2023年07月21日 1781号

【今こそ市政を変えよう/市民の声を活かした枚方市駅前のまちづくりを/大阪府枚方市】

市民無視の流れを変える

 昨年の9月市議会で「市役所移転条例案」が「特別多数議決」で否決されたにもかかわらず、枚方(ひらかた)市は“市役所移転ありき”の計画案を、強引に進めている。

 枚方市は、既に2017年、市役所の移転先を北河内府民センター跡地とすると、国や大阪府と確認していたことも明らかになっている。これほどの市民無視、議会無視はない。

 私たちは「市民参加のまちづくり」へと流れを変えようと、新建築家技術者集団の協力を得て、他の団体と今春、「枚方のまちづくりを考える市民ネットワーク」をスタートさせた。

 6月24日に開催した市民主催のシンポジウムは、300名近い参加者で、現計画案を凍結し市政は変えられると確信できる集会になった。

人と人とのつながりこそ

 基調講演で中山徹奈良女子大教授は、「少子化や将来の人口推計から今後50年間人口は増えない。21世紀のまちづくりは、人口減少を前提にして高齢者が住み続けられ、少子化対策が充実した災害に強いまちづくりが必要」と強調。「その流れに逆行し巨大開発を行政主導で進めているのは、大阪府では大阪市と枚方市だけ。事業の成功のために、枚方市は民間企業の言いなりに道路整備、下水道整備など周辺整備に税金をつぎ込むことになる。その費用の捻出により、市民福祉が低下することは避けられない」と明言された。

 特別講演は、指定管理者制度が導入されようとしていた時以来、枚方の図書館を心にかけてくださっている図書館問題研究会の巽照子さん。フィンランドの図書館が、市民参加でつくられた取り組みを紹介し、人と人とがつながる大切さを語られた。新建築家技術者集団の大原紀子さんは「都市公園は、いま国が進めている民間活用型ではなく、市民の必要性に基づく緑豊かな公共空間であることが大切。市有地は手放すと永遠に戻らない」と主張。

 会場からの活発な意見や質問が続き、「身近な人に今日の集会のことを伝えよう。市有地は民間企業に明け渡さず市役所の建替え用地とし、市民の広場、防災広場として市民参加で計画案をつくろう」と確認した。

9月市長選で転換へ

 現在、京阪電鉄、大阪府住宅供給公社用地に14階や29階建ての複数の商業施設を含む第1期工事が進んでいる。すでに、環境、景観は変わり始めている。

 次期計画の周辺エリアの住民への訪問活動を行なった。商店街と住宅が密集している。「そんな計画は、聞いていない」「近くの高層建物によるビル風の怖さは知っている」などの声を聞いた。枚方市は、建物の具体的な計画案ができてからしか市民に説明しようとしない。市民生活に目を向けない維新市政の開発を早く止めないといけない。

 6月12日の枚方市議会では、老朽化が進む市役所の建替えが1年延びて10年後になった。さらに昨年6月に突然提案された市役所とアリーナの合築(がっちく)案は、精査の結果実現できないと説明された。また、「1か所ですべての手続きが可能な総合窓口」を現在建設中の29階建てのビルにつくるので、市役所は今より遠くなってもいいと主張していたその「総合窓口」は、検討事項になったとのこと。またも迷走。7月13日から市内9か所で、市長が市民と対話するという市民説明会が急遽(きゅうきょ)発表された。

 9月に市長選挙がある。多くの市民が参加し、今こそ、市民参加のまちづくりへと方向転換できるチャンスにしたいと考えている。

(平和で豊かな枚方を市民みんなでつくる会・大田幸世)



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