2023年07月28日 1782号

【オスプレイ超低空飛行を公認/日常化する戦争の予行演習】

住民の危険考えず

 在日米軍にかかる協議を行う日米合同委員会は7月7日、米海兵隊のオスプレイ飛行訓練で、地上200フィート(約60b)の超低空飛行を公式に認めた。沖縄県以外の山岳地帯に限られるが、昨年の300〜500フィート(約90〜150b)への引き下げに続くものだ。

 適用地域から沖縄を除いた理由を、浜田靖一防衛相は「沖縄の基地負担を一層軽減する必要性を考慮した」と述べた(7/12RBC)。沖縄では取り決めがあろうが、海兵隊のオスプレイは傍若無人にふるまっている。飛行のルートも時間も、高度さえ守られていない。浜田防衛相の発言はこの実態を無いものとしている点で、二重のごまかしと言える。

 2012年のオスプレイ配備にあたり、日米合同委員会は日本の航空法で定める150b以上とすることで合意していた。米軍は200フィートの飛行訓練を日本国外で行なってきた。「操縦士の技量維持に必要な訓練」というが、それを「市民の命」より優先するのが軍隊の論理なのだ。

演習につぐ演習

 日米軍事演習が頻繁に行われている。昨年10月、オスプレイも参加して実施されたレゾリュート・ドラゴン22は、沖縄・琉球弧での「島しょ奪還作戦」を米海兵機動展開部隊とともに実施した最大規模の演習だった。今年もその前段として、7月10〜17日に指揮所演習が行われた。演習場所のひとつ陸上自衛隊健軍駐屯地(熊本)。ここには第5地対艦ミサイル連隊がいる。長距離化の対象である12式地対艦ミサイルが配備されているところだ。24年、沖縄島・勝連に第7ミサイル連隊が新設されるまでは、宮古、石垣のミサイル中隊を指揮下に置いている。

 海上自衛隊や航空自衛隊も「自由で開かれたインド太平洋」をうたい文句に、合同演習を重ねている。

 空自は7月3〜21日まで「モビリティ・ガーディアン23」多国間演習に参加する。横田基地には空自の他、米・英・豪・加・ニュージーランドが加わり、輸送演習が行われる。海自は毎月、米空母等との合同演習を行っている。7月20〜8月4日まで豪州で実施される「タリスマン・セイバー23」に陸自とともに参加する。

   *  *  *

 軍事演習が市民生活に影響を与えるのは間違いない。だが、防衛省や自衛隊は、極めてわずかな情報しか出さない。事後報告のことも多い。すべてが公表されるわけでもない。

 横田基地周辺市町基地対策連絡会は、モビリティ・ガーディアン23について、「騒音が大幅に増加することがないよう周辺住民に十分配慮すること」「市街地上空での低空・旋回訓練は行わないこと」など4点について口頭要請を行った(6/29)。

 戦争を想定した演習など行うべきではない。軍隊そのものが危険な存在であることを改めて訴えよう。地元自治体とともに演習の内容を把握し、無謀な行為に抗議の声をあげよう。

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