2023年07月28日 1782号

【明日をつくるなかまユニオン<第13回>/「なかまユニオン」が第26回定期大会/10倍化計画実現へ書記局チームや団交応援団の新方針うちだす】

 誰でも加入できる地域の労働組合「なかまユニオン」。7月1日、大阪市内で第26回定期大会を開いた。2029年までに組合員10倍化をめざす「なかまユニオン10年計画」実現に向け、新たな方針を決めた。

新たに書記局チームを

 2023年度の方針で打ち出されたのは、労働相談を強化し、組合加入活動に重点的に取り組むこと▽労働相談体制の強化▽団体交渉の対応人数の増員▽団交応援団などだ。

 この方針は前年度の総括から生まれた。労働相談は目標数を超え、昨年1年間で500件を超えた。いかに多くの労働者が無権利の状態に放置されているのかがわかる。なかまユニオンは相談者の要求を実現できるよう全力で支援した。だが、組合加入に結びついたのは1割に満たなかった。これが課題だ。

 「団交応援団」とは“受けた支援は運動で返す”を形にしたもの。労働事件の当事者が自身の問題を解決できた後、他の労働争議の団交に援助や助言をしていく。その受け皿として生まれたのが「団交応援団」だ。メンバー登録制を想定している。

 団交を掛け持ちしている組合員からは、歓迎の声が上がった。

 こうした労働組合としての基本的活動を支えるために、書記局チームをつくり、機能を強化するために新たに専従を配置する。井手窪啓一委員長は「『なかまユニオン10年計画』実現のために、生活の中にユニオン活動を定着させていきたい。みなさんの協力を期待します」と呼びかけた。

 新たに専従役員となる若い執行委員は「これまで一人で担われてきた井手窪委員長とともに、電話対応や組合員とのやりとりをできるようがんばっていきたい」と決意を新たにしている。

 なかまユニオンは昨年、東リ偽装請負事件や教職員裁判の勝利、神明会ラ・アケソニア分会の提訴、ワツコ鰍フ勝利和解の成果を手にしている。若者プロジェクトは、若者が集う「アメ村」でのデモや新組合員の歓迎会をやりとげた。

 この強化方針は、なかまユニオンを大きく前進させるに違いない。

労働者の権利は譲らない

 なかまユニオンの役割はますます高まっている。労働者に対する資本の攻撃が激しさを増しているからだ。田中充郎執行委員が労働者をめぐる情勢を報告。岸田政権が進める「リ・スキリング」の危険性を強調した。

 リ・スキリングとは、「転職希望の労働者33万人が転職できるスキルを得るための学び直し支援」策だ。経済産業省が各個人の講座費用を負担する。おかしいのは、転職を促す企業に助成金を出すということだ。

 これは、「解雇はだめだが、スキルを与えて転職させるのはOK」という実質解雇を隠ぺいする狡猾な手法だ。すでにさまざまな派遣会社が米国発祥の「アウトスキリング」をホームページで宣伝し始めている。

 解雇撤回の闘いで、なかまユニオンは大きな役割を果たしている。連帯あいさつに来場した地域ユニオンや全港湾大阪支部などから強調されたのは、東リ闘争勝利の意義だ。労働者派遣法第40条の6「労働契約申し込みみなし」制度を利用して職場復帰を果たした東リ闘争は、全国の非正規労働者の闘いへとつなげていく上で重要だ。

 岸田政権の国家的なリストラ推進策との闘いが改めて方針化された。

すべての力で10倍化を

 なかまユニオンの活動のエネルギー源は国際的な連帯行動にある。

 韓国から希望連帯本部、青年ユニオン、労働運動家チョ・ソンジュさん、ドキュメンタリー監督オ・ソヨンさんから、動画メッセージが寄せられた。

 韓国への連帯ツアーに参加した若い組合員の発言が国際連帯の効果を示している。「韓国の労働者は気迫に満ちている。韓国には『整理解雇法』があるため、解雇が当たり前に行われてしまう。生き残るためには闘わざるを得ない。私はツアー中に体調を崩し通訳の方に助けてもらった。今度は自分の活動の中で恩返しできたらと考えている」。国際連帯の行動は、視野を広げユニオン自身を強くする。

 新組合員が決意を語る。「定年後、2回目の就職先がブラック企業だった。娘だけでなく自分もこのユニオンの場にいることとなった。自分は『児童虐待にあたる言葉を使った』との嫌疑で解雇されようとしている。資本と闘うには団結するしかない。ともにがんばっていきたい」。

 こんな積み重ねが、ユニオン10倍化を達成する。



MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS