2023年08月04日 1783号

【1783号主張/戦争国家に導くマイナンバー制度/命を奪う岸田政権は退陣だ】

根底に生活破壊への怒り

 岸田政権の支持率が各世論調査で急落している。

 毎日新聞世論調査(7/22〜7/23)では、支持が5か月ぶりに3割を切り28%(2か月で17ポイント減)、不支持は65%に達した。朝日新聞調査(7/15〜7/16)でも支持が37%、不支持が50%だった。背景には混乱が続くマイナンバー制度に対する不信感がある。制度を「あまり信頼していない」「信頼していない」は計61%に上る。来年秋に健康保険証を廃止してマイナンバーカードと一体化させることには反対が58%だ(朝日調査)。

 支持率低下の底部には、生活破壊への市民の不満と怒りがある。物価高騰の下で5月までの実質賃金は14か月連続マイナス。6月までの企業倒産も15か月連続で前年を上回る。命とくらしが脅かされているのだ。

 支持率を懸念する自民党内からも健康保険証廃止延期を求める声が出始めた。

市民監視の意図

 マイナンバー制度をめぐるトラブルによって、社会保障にまで支障が出ている。

 宮崎県は7月12日、知的障がい者向けの療育手帳で別人の情報を紐づけた事案が2336件に上ることを公表した。埼玉県所沢市は14日、後期高齢者医療制度で女性のマイナンバー紐づけを誤り、高額介護合算療養費計6万円近くを別人の口座に振り込むミスがあったと発表した。政府はデータ総点検を指示しており、さらなる問題発覚は不可避だ。河野デジタル相自身が担当相である個人情報保護委員会がデジタル庁に立ち入り検査せざるを得ない醜態となった。

 政府は、健康保険証廃止などカード強要方針を即時中止し、誤ったデータの全容解明と被害者救済に全力を尽くさなければならない。

 しかし、岸田政権はカード強制に固執したままだ。個人情報取得を通じた大企業の儲け口確保と、監視社会の確立のためだ。一連の対応には、人権も生活を軽視してグローバル資本の利益を優先し、市民監視と一体で大軍拡を進める岸田政権の性格が表れている。

市民の運動で変革へ

 命と生活を守るために岸田政権を退陣させなければならない。重要なのは、地域から市民の運動を強め、岸田退陣を求める世論をつくっていくことだ。

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は、市民のさまざまな運動・闘いを結集して7月29〜30日、「STOP!戦争・貧困・原発 誰もが人らしく生きられる社会を!国際連帯で東アジアの平和をつくる」ZENKOin横須賀を開く。DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)をはじめ国内外のゲストとともに多くの市民の参加で成功させよう。国際連帯で戦争と軍拡を止め、命とくらしのために社会の根本的変革をめざす闘いを全国に広げよう。

 (7月24日)
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