2023年08月11日 1784号

【1784号主張/軍都♂。須賀で2023ZENKO/戦争 軍事化止め社会を変える】

戦争国家へ白書決定

 岸田政権は7月28日、2023年版防衛白書を閣議決定した。中国、ロシアを「安全保障上の深刻な懸念事項」とし、「反撃(敵基地等攻撃)能力強化」を初めて明記し今後の防衛政策の鍵とする。「平素から有事まで常設の統合司令部を創設」することをうたう。日本を常時、戦時体制とするよう公然と求めるものだ。

 「沖縄の基地負担軽減」は口先だけ。「南西地域への部隊配備」「馬毛島(まげしま)の自衛隊施設整備工事開始」と琉球弧の軍事要塞化を前面に押し出し、軍事費2倍化など岸田の軍拡への暴走に歩調を合わせる。

 だが、軍拡路線はさまざまな壁にぶち当たっている。22年度、自衛官の採用は予定の6割にとどまった。大軍拡とウクライナ戦争で戦地派兵の危険を感じる若者が増え、女性自衛官へのセクハラも背景とメディアも指摘する(7/30読売)。住民の命はもちろん兵士の人権も守らない。人殺しのための軍隊の本質をこれほど明瞭に示すものはない。

世界から反戦の闘い集う

 23ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)が7月29〜30日、神奈川県横須賀市で開催された。

 4年ぶりに海外ゲストが来日、対面で参加者と対話した。韓国・対案文化連帯のユ・ミヒさんは、南北朝鮮の「核対核」対決の扇動にまで至った分断を乗り越える市民の連帯を訴えた。DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)のジェラルド・ダルボンさんは「ZHAP(ZENKO辺野古反基地プロジェクト)による基地反対の声をバイデン政権の与党・民主党の一角に届けている」と国際連帯による成果を強調。イラク労働者共産党サミール・アディルさんは、ロシアの侵攻―ウクライナ戦争をめぐる左翼勢力の混乱に、戦争、軍国主義に立ち向かい反戦運動を一つにしようとアピールする。地域で反基地を闘う市民とともに世界に連帯を呼びかけた。

 これに先立つ28日には軍港フィールドワークを実施。軍事基地強化の実態を参加者が直接見、体感した。横須賀は、戦前の旧日本海軍拠点から戦後も自衛隊や米海軍基地が置かれるなど、軍都≠フ歴史を持つ。その軍都に反戦平和の闘いが集った意味は大きい。

国際連帯で社会変革を

 現在、世界で起きている混乱は、労働者・市民から奪い取った富の「分け前」をめぐるグローバル資本主義同士の醜い争いが原因だ。戦争に勝者はなく、民衆の利益とは無縁。それはすべての市民共通の思いだ。

 国際連帯でグローバル資本と闘い、民主主義的社会主義への変革の歩みを進めなければ、平和も自由も民主主義も訪れない。戦争・貧困・原発をなくし、誰もが人らしく生きられる社会を国際連帯で切り開こう。

    (7月30日)
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