2023年08月11日 1784号

【DSAが初めて見た基地の島 沖縄(上)/日米市民の連携で米議会に“PFAS”提起/ZHAP(ZENKO辺野古反基地プロジェクト)の成果が希望広げる】

 ZHAP(ZENKO辺野古反基地プロジェクト)開始以来、定例的なリモート会議などでつながってきたDSA(アメリカ民主主義的社会主義者)のジェラルド・ダルボンさんが、7月26〜27日にかけて初めて沖縄現地を訪れた。どんな感想を持つのか、同行取材した。真っ先に向かったのは、沖縄県庁だった。(M)


沖縄県からも期待

 玉城デニー沖縄県知事が訪米した今年3月、アメリカ連邦議会のアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員(AOC)との面談が実現。重要な役割を果たしたダルボンさんが辺野古新基地建設反対を貫く県を表敬訪問した。

 あいにく玉城知事はハワイ出張で不在。代わって応対した照屋義実副知事は、DSAの尽力に改めて謝意を示し、「引き続き活動を続けてほしい」とさらなる連携への期待が表明された。

 県の期待には理由があった。米軍基地からの有害物質PFAS(ピーファス)(有機フッ素化合物)汚染の問題について、県がEPA(米国環境保護庁)に対策を申し入れたものの「我が庁が軍部へ指導することは難しい」とにべもなかった。その一方で、AOCが知事の訴えを真剣に取り上げ、連邦議会に修正案を提出。連邦議会議員の間に連帯を広げている。行政が超えられない壁に、ZHAP=DSAがくさびを打ち込んでいる。その成果は、知事公室訪問の前に行った記者会見で詳細に報告されていた。

注目集めた記者会見

 県庁記者クラブで行われた記者会見には地元2紙や朝日新聞、テレビ局が取材に来た。

 ZHAPとDSAの概略をZENKO事務局の日南田成志さんが説明した後、ダルボンさんが話した。「DSAはアメリカ最大の社会主義組織で、州や地方レベルで選出された百名以上の議員がいます。米連邦議会にもDSAの議員が数名おり、AOCもその一人です」。最年少当選を果たし、2期目に入ったAOCの影響力は大きい。

 「玉城知事との面談後、AOCと彼女の事務所は、沖縄の基地問題に対処する方法を考えるとわれわれに告げた。AOCは、沖縄をはじめ米軍基地によるPFAS汚染に対応するため、6月末に国防権限法(NDAA)への修正案を提出しました」。DSAの果たす大きな役割が実感できる。地元紙では連日報道されるPFAS汚染。沖縄だけでなく全国の米軍基地での汚染が明らかになっている。

 「残念ながら、共和党が支配する下院はこの修正案を否決しました。今年、アメリカ連邦議会は9000億ドルに迫る軍事予算を可決しましたが、懸念を示す議員は多い。DSAは、アジア太平洋で進む軍拡への反対を、引き続き議会のメンバーと取り組んでいきます」

国際連帯の力確信

 記者会見には、奥間政則さん(沖縄ドローンプロジェクト)、多和田栄子さん(那覇市議会議員)、新垣邦雄さん(ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会)が同席。奥間さんは、ZHAPとDSAが生み出したこれらの成果に「市民による国際連帯が必要とさらに確信を深めた」と語っている。

 記者会見は当日のテレビニュースで流された。地元2紙が翌朝刊に掲載した。すぐに奥間さんが、新聞記事をスクラップしたチラシを作成。PFAS汚染から命を守る連絡会や辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で座り込む沖縄平和市民連絡会などの参加者へ大量配布。“私たちの希望はここにある”とバイデン大統領に辺野古断念を迫るZHAP第2次署名を大いに宣伝して回る。話を聞いた人はみな「すごい成果だね」と関心を寄せた。

        (続く)

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS