2023年08月11日 1784号

【ゲストら軍港フィールドワーク/ヨコスカ平和船団と交流/基地は何のためにあるのか “美しい”観光資源なのか】

 ZENKOin横須賀プレ企画の一環として海外ゲストらが7月28日、「ヨコスカ平和船団」のボートで米海軍・海上自衛隊の艦船がひしめく横須賀港をフィールドワーク。終了後、船団長の鈴木茂樹さんを囲んで交流した。

 鈴木さんは、横須賀が米軍の「前方展開戦略」に基づき、第七艦隊の空母戦闘団の母港とされてきた歴史を説明。1973年の通常型空母の母港化にあたり米軍は「(母港化の期間は)数年」とし、日本政府と横須賀市との間で「将来、原子力空母の母港としない」との了解事項があったにもかかわらず、2008年には原子力空母が配備され、今日に至る。湾岸戦争・イラク戦争では、横須賀を母港とする空母から3〜4千回の攻撃を行ったと米海軍は発表。「横須賀から出て行った空母がイラクに爆弾を落とした。今は米海軍・海自のイージス艦によるBMD(弾道弾防衛システム)構築が進む。地元から粘り強く反対運動を繰り広げている」

 ゲストが軍港見学の感想を語る。「何度も来日したが、これだけ大きな基地があること、イラク侵略に加わった軍艦がここから出港したことは初めて知った。日本は平和を脅かす米国の戦略に深く関わっている」(サミール・アディルさん=イラク)「日本における米軍の存在がいかに大きなものかを目の当たりにし、圧倒された。労働者階級の生活向上に投じられるべき資金が戦争と米国の覇権維持のために使われている。基地は一体何のために存在しているのか」(ジェラルド・ダルボンさん=米国)

 韓国のユ・ミヒさんは「空は青く、風は気持ちよく、海は美しい。そこに軍事施設がある。緑の山に弾薬庫がある。基地は自然や生態系、地球さえも壊す。非現実的なのは、軍事施設を“美しいもの”として観光する人たちがいること。済州(チェジュ)島でも原子力潜水艦が行き来する基地が観光資源にされようとしている」と憂え、「基地は美しくなく戦争に向かう恐ろしいものであると教えてくれた鈴木船団長に感謝したい」と述べた。

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