2023年08月18日 1785号

【ミリタリーウォッチング/防衛大のトンデモ℃タ態/自衛隊に提供名簿の除外申請を】

 今では、町内会の掲示板や回覧板で「自衛官・学生募集中」のポスターや広告を目にすることは珍しくない。自衛隊が殺し殺される戦闘を最大の任務とする軍隊組織であることを微塵も感じさせない巧妙な広告スタイルは一貫している。

 だが、実際の自衛隊はポスターが謳(うた)うイメージとは程遠い実態にあることを示す事件や告発が相次いでいる。6月、岐阜県の射撃訓練場で実戦的な射撃訓練£に発生した自衛官候補生による教官ら3人の殺傷事件は自衛隊の実像、実態を端的に示す事件の一つだった。

 さらに最近、現在の防衛大で起きている危機的な¥況ととんでもない℃タ態を防衛大の教授が実名で告発している(8/3毎日)。教授によれば、毎年の「任官辞退者」の多さ(2021年3月の卒業生479人のうち72人が任官を辞退)に加え、新入生、現役生の大量退校が進行しているという。

 「昨年で言えば、4月入学の新1年生488人のうち、1年以内に約20%100人近くが退学してしまったのです。2、3年生で退学する学生も相当いますし、任官して幹部候補生学校に進んでから間もなく退校する者も少なくありません」

 理由は、一つが旧軍隊並みの寮生活だ。その中での上級生による日常的ないじめの横行だ。二つ目は「一部の教官と科目の質があまりに低い」こと。軍事科学にあたる防衛学教育学群の40人の教官のうち専任は10人。他の30人は自衛隊のローテーション人事で送りこまれた制服組教官で、防衛学に値する授業が少ないと教授は言う。果ては、「大東亜戦争」賛美論者や極右思想の持ち主など偏った考え方の“トンデモ”論者をゲストスピーカーとして招く授業が度々行われている酷い実態を暴いている。

広がる市民の提供拒否

 こんな自衛隊の問題には一切目もむけず、「自衛官・学生募集」に「積極協力」=追随する自治体が増え、電子・紙媒体で名簿を提供(タックシールの提供含む)した自治体が22年度は6割を超える見通しだ。

 国に追随する自治体に対して、電子・紙媒体で名簿を提供しないよう求める市民の様々な取り組み、闘いが全国各地で始まっている。その一つは提供を望まない市民による「除外申請(個人情報提供中止申出)」制度を市民に知らせ、活用を広げる取り組みだ。行政に対し、この制度の市民・対象者への周知を要求しながら、市民の運動で「除外申請」を広げていく。

 こうした中、鹿児島県では、「除外申請」が168人全体の3%が「提供拒否」(MBC南日本放送)という状況も生まれている。

 市民生活の現場から軍事化を拒む貴重な取り組みである。全国に広げよう。 

豆多 敏紀
平和と生活をむすぶ会
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