2023年09月01日 1786号

【8・14日韓平和市民共同行動/ジェンダー暴力の歴史を記憶する/心に届く行動の継続が戦争を止める】

 横須賀ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)分科会決議を受けて8月14日、今年で5回目の「日韓平和市民共同行動」が開催された。サブタイトルは「8・15第2次世界大戦終戦と8・14日本軍『慰安婦』の日を記憶しながら」。

 オンラインで行われた「日韓平和フォーラム」では、韓国・対案文化連帯のチャン・スヒさんが「冷戦で消えた女たち」と題して発表。2014年に開園した「プサン市民公園」はかつて日本軍の捕虜監視員らの訓練場として使われ、解放後は米軍「ハヤリア部隊」(ハヤリアは駐韓米軍初代司令官の故郷である米フロリダ州の都市名)が駐屯していたが、同公園内の「歴史館」には基地周辺に多数あった性売買施設やそこにいた女性たちに関する展示が一つもないことを明らかにし、沖縄県平和祈念資料館のAサインバー(米軍に風俗営業を許可されたバー)展示改ざん事件(1999年)と重ね合わせて「米軍基地の歴史から女性の歴史が消えてしまった」と告発する。

 「これは冷戦下、全世界の基地周辺で起きたこと。植民地化と冷戦は抑圧的なジェンダー政治の持続であり、加害主体は変わってもジェンダーの暴力が続いた。91年の日本軍『慰安婦』のカミングアウトはこれに対する問題提起。『新冷戦』と呼ばれる現在も女性たちは暴力にさらされ、記録されず、消えている。戦争と性暴力に加担してきたシステムの歴史を記録・記憶しなければならない」。スヒさんは力を込めた。

 ZENKO共同代表・河辺友洋さんによる東アジア情勢と今後の活動方針の発表に続き、日韓それぞれから「平和行動」―大阪・枚方(ひらかた)、同・京橋、京都、兵庫での街頭署名行動や基地反対運動、プサン駅前での「平和ラジオ」など平和キャンペーン、ソウルでの汎国民大会―を報告。参加者から「久しぶりに韓国の青年たちと交流でき、楽しかった。戦争は絶対にやってはだめ」「岡山でMDSカフェを開催予定。戦争のメカニズムについて追究したい」「各自が自分の立ち位置で一生懸命取り組んでいる姿を見て大きな刺激になった」「自転車に平和の横断幕、いいですね。私たちも自転車で広報してみたい」「みな忙しく行き交い、足を止めてもらうのは難しかったが、行動が続くことで多くの人たちが忘れないでいてくれる」などの感想が寄せられ、チャットにも「国際連帯の力大切。あらためてそう思いました」「お互いに勇気を与える物語が続くことを願っています」といった言葉が並んだ。

 フォーラムの最後に、壷井明さん制作の絵「焼け焦げた証言―日本軍『慰安婦』の言葉、声」が展示され、参観者が女性たちの証言を朗読することもできる対案文化連帯の建物1階「記憶の部屋」の様子が映し出された。



MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS