2023年09月08日 1787号

【2023ZENKOin横須賀/NO!リニア・新幹線分科会/リニア認可取り消し訴訟 不当判決に怯まず/地域住民本位の公共交通確立を決議】

 横須賀ZENKO第13分科会は、今年「NO! リニア・新幹線 全国交通網活かし安全守るため今すぐ鉄道再国有化を」に名称を微修正した。横須賀会場と全国の参加者をオンライン配信でつないだ。

リニア工事はできない

 今年4月「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(活性化再生法)」の改定が行われ、10月から施行される。「全国交通網活かし」の文言を入れたのは、活性化再生法の数少ない前進面である法定協議会(特定線区再構築協議会)に住民の声を反映させ、鉄道が初めて適用対象となった国の補助制度(社会資本整備総合交付金)を全国交通網維持につなげる方針を論議したいとの思いからである。

 同時に、リニア関係の論議を充実させたいとの考えもあった。ZENKO直前の7月18日、でたらめだらけのリニア事業を国・JR東海の主張をなぞるだけで追認した東京地裁の不当判決が出された。この判決を乗り越える展望作りも今年の分科会の課題だ。

 「ストップ!リニア訴訟」原告団の天野捷一(しょういち)さんから「リニア新幹線はもうやめ時だ」と題した報告があった。当初、9兆円の見込みだった工事費は現在すでに10兆5千億円にふくれあがっている。建設できたとしても経済効果は東京に集中する。その東京でも、リニアと同じ工法を採る東京外環道工事では真上にある住民の土地が陥没。差し止めの判決が出て工事はストップしたままだ。リニアは今や建設の是非ではなく、実現可能性そのものが問われる事態。報告は、実現不可能な事業が国策の名の下にごり押しされる実態をえぐり出した。

 オンライン参加のリニア・市民ネット大阪の春日直樹さんは、リニア計画が2011年、福島原発事故の混乱に乗じて打ち出された点に触れ、「ショック・ドクトリン」だと指摘。関西でリニア問題への理解を深める学習会などの活動実態を報告した。

社会的性格の中に対案

 安全問題研究会の地脇聖孝さんは、活性化再生法改定(内容は本紙1778号参照)について報告。JRを含めた鉄道事業者の経営基盤の安定化への支援や、鉄道廃止手続きを届出制から以前の許可制に戻すこと等を全国の知事が国に求めた「地方の鉄道ネットワークを守る緊急提言」(2021年8月)を、鉄道をはじめとする公共交通機関が持つ社会的性格を踏まえた正当な要求として評価。この提言を法定協議会に反映させることが重要である。

 討議を経て以下決議した。

  ◇     ◇

 (1)環境破壊、税金無駄遣いのリニア・整備新幹線建設を止め、地域公共交通維持再建のための政府予算の大幅拡充を求めよう。改定「地域公共交通活性化再生法」に基づく法定協議会に市民の声を反映させ、廃線を阻止しよう。(2)JRの安全を監視し、利用者本位のサービスを取り戻そう。(3)利用者・市民が決定権を持つ民主的な公共交通確立へ、鉄道再国有化を実現しよう。
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