2023年09月08日 1787号

【ZENKO労働者協同組合分科会 今を担う世代一人ひとりが/意見を出し支え合う】

 7月30日、2023ZENKOin横須賀で労働者協同組合運動の分科会を持ちました。“今を担う世代”が自ら企画し、テーマは「労働者一人ひとりが対等に意見を出し合い、支え合える民主的な職場を共につくろう」。よりリアルな内容に踏み込み、悩みに向き合いみんなで解決してゆく、はじめの一歩になりました。



 レポートは2本。北海道の障がい福祉サービス相談支援事業所「ぱすてる」の山川博豊さん(別掲)と大阪の高齢者介護事業所「NPO法人みんなの手」の原田正太郎さんにお願いしました。原田さんの報告は、介護保険の締め付けや職場の変化にもめげずに利用者さんの尊厳を大事にしながら事業所を維持していること、厳しい条件の中でも職場の仲間に関わり、変化を作り出しているというもの。

 2本ともに参加者みんなを励ますものでした。

 私たちの働く職場には様々な人がいますから足並みが揃っているわけではありません。これまでの仕事や職場経験を通して傷つきガードがかたい人が多いです。ぶつかることもめずらしくありません。

 後半の討議も活発で「フラットな事業体組織をつくるには」「一人で抱え込まずみんなでがんばるために工夫している」など話し合いました。参加者からは「よかった」「もっと踏み込んで話したかった」と感想をもらっています。

 事業継続自体が闘いという中での苦労もありますが、(1)安心して働ける環境をつくること(2)諦めずに対話し働きかけ関係を深めることを大事にすることで、言葉だけではなく本当の意味で「協同」していけるんだという展望を共有できたと思います。分科会準備に初めて取り組み、苦労もしましたが、みんなで成功させることができました。

 今後は、決議で確認したとおり事業所を越えた学習や交流で、支え合いの連帯を築く取り組みを進めていきます。いずれは“次を担う世代”につなげられるよう、みんなでがんばりたいと思います。

(大阪・菅井早苗)

民主的事業体運営へ 【一所懸命】そしてカルチャーを

 今回、ZENKO協同組合運動分科会でレポートさせていただきました。拙(つたな)い内容ですが、民主的組織運営を考える時の参考の一つになればと思い、紙面を借りあらためて報告します。

 私の運営する相談支援事業所「ぱすてる」で民主的な運営を目指すとはどういうことか、何を大切に運営してきたのか。それは、徹底的に地域に開かれ、そして地域の方々と対等な関係をどう構築出来るか―そこを第一に考え運営してきたことにあると思います。地域の方々が遠慮なく、気兼ねなく「ぱすてる」に相談してくれる関係、地域の方と徹底的に支えあおう。ここを目指すことが大切なのでは、そう思って運営してきました。

 さらに私が組織運営や仲間作りとして大切だと思っているふたつの言葉を。

 ひとつめは「一生懸命」ということです。一生懸命、この言葉はもともと【一所懸命】、ひとところで懸命にという意味がありました。この【一所懸命】という言葉に、特に職場の役職者や先輩は真摯に向き合ってほしい。若い、もしくは新人の職員さんが、あなたの職場で組織で【一所懸命】頑張れるということを大切にしてほしい。皆が【一所懸命】になれるような素敵な職場環境作りに気を配ってほしいと思います。

 ふたつ目の言葉として、【自分なりのカルチャーを持つ】ということ。これまたカルチャーという言葉を紐解くと、「耕す」という意味があったそうです。自分自身に身につけるべき文化というか、教養でもいいのですが、身に付けるべきものは自分で耕して、耕して、身に付けてほしい。そうやって身に付けたものが確固たる自分のカルチャーになると思いますし、ゆるぎない組織運営の柱となるのではないでしょうか。

 そして、私たちはみんなのことが大好きで、自分自身のことも大好きで、いつもあなたのことを思っている人がいるんだよ、そんなことも大切にしたいし、大切にしあえる仲間でいたい。概(おおむ)ねこんな内容の報告を行いました。

 これまではオンラインでしか知らなかった協同組合運動に取り組む各地のメンバーの方にもお会いすることができ、やっと顔と名前が一致し、うれしい限り。今回の報告を私自身さらに深め、多くの方々と協同組合運動、そして民主的組織運営とは何かを議論していきたい、と決意も新たにした分科会でした。

  (北海道・山川博豊)

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