2023年09月08日 1787号

【たんぽぽのように(29)/2023年8月の風景/李真革】

 毎年8月になると韓国、日本ともに記念日や行事が多い。韓国人がよく知らない日本の6日と9日があり、15日は韓国と日本共通の記念日だが、その名称と意味は大きく異なる。植民地支配、戦争、分断などによる苦しみは未だ多くの人々に残っているが、それに対する相互理解と共感は依然として幻のようにむなしい。

 ところがこのほかに、今年の8月には、広く語られることが多く生じた。

 去る19日、日米韓3国の代表が米国大統領の別荘地で会って、3か国首脳会談を賑(にぎ)やかに開いた。日米韓の「新時代パートナーシップ宣言」を通じて、3国はお互いの「安保利益または主権を守るためのすべての適切な措置をとる義務」を分かち合うようになった。キャンプデービッド宣言の精神、原則、公約の3つの文書には、「敵基地先滅」「集団安全保障」のように平和とはほど遠い敵対的な単語があふれている。

 これに対して北朝鮮は中国、ロシアと再び緊密な関係を誇示しており、東アジアでの軍事的緊張感はさらに高まるだろう。

 そして8月24日、東京電力は福島原発から日本政府の言う「処理水」(韓国では汚染水と呼ぶ)を放流した。日本産水産物の輸入禁止などを発表した中国とは異なり、韓国政府は日本政府の方針を支持している。

 一方、週末の26日、「日本放射性汚染水海洋投機阻止共同行動」の主催で、ソウルの光化門(クァンファムン)一帯では「福島核汚染水海洋投棄中断汎国民大会」が開かれた。5万人余りが参加し、野党4党の政治家も参加して尹錫悦(ユンソンニョル)政府の対日外交を批判した。集会は全国各地で行われ、汚染水の放流に反対し、駐韓日本大使館に進入しようとした大学生16名が逮捕されたこともあった。

 尹大統領が推進している日韓関係改善と日米韓安保協力に対する韓国市民の反対世論が再び広場に集まっている。

 海に流れ込んだ汚染物質はある国だけの問題ではないし、世界各地で繰り広げられる対立と争いも私一人と無関係なことではない。国を越える連帯がいつにも増して切実に必要な時期だ。

(筆者は市民活動家、京都在住)

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