2023年09月08日 1787号

【「爆音の塊が家に落ちてくる」/横田基地公害訴訟 口頭弁論始まる】

 米軍に基地を提供している日本政府を相手取り、4度目の裁判が東京地裁立川支部で始まった。1976年の初提訴から半世紀を超える長期裁判だ。この間、爆音公害裁判は、小松基地(石川県)、厚木基地(神奈川県)、嘉手納・普天間基地(沖縄県)、岩国基地(山口県)、新田原基地(宮崎県)へと広がり、原告総数は5万5千人に。在日米軍と自衛隊によるやりたい放題の戦争訓練強化に立ちはだかってきた。

 8月21日の第1回法廷では、原告団長の福本道夫さんら3名が意見陳述。横田基地でCV22オスプレイ先行配備(18年10月)とともに南西諸島「有事」を想定した訓練(低空旋回飛行、パラシュート降下、ホバリング等)が一挙に強まり、被害が甚大になりつつあることを告発した。福本団長は、大阪空港公害裁判の「夜間飛行差し止め高裁判決」が司法介入の末に最高裁で覆された(81年12月)ことを暴露した「(元最高裁判事)団藤重光ノート」(本年4月報道)を取り上げ、今日まで「早朝夜間差し止め」判決を出すことに躊躇している裁判官の良心に強く訴えかけた。

 自宅上空がオスプレイ訓練飛行区域となっている瑞穂町の原告は「旧満州で機銃掃射しながら旧ソ連軍機が急降下してくる中を必死で逃避した幼児期の体験」を語り、トラウマがよみがえる不安を切実に証言。自宅上空でC130などの低空飛行訓練が行われているあきる野市の原告は、共感を寄せてきた元BC級戦犯の飯田進さんや元「慰安婦」宋神道(ソンシンド)さんにも触れ、「窓ガラスを揺さぶる連日の爆音を看過することは、再び戦争に加担することにつながると考え、初めて原告となった」と語った。

 大法廷定員(100名)を超える傍聴があり、事前と事後の集会は大きく盛り上がった。

(東京 横田基地公害訴訟原告団副団長 塚本秀男)

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