2023年09月15日 1788号

【関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年/追悼大会に1800人/歴史に誠実に向き合い、国家の責任を問う/「私たちを何度も殺さないで」】

 8月31日、都内で「関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年犠牲者追悼大会」が開催され、1800人の参加者であふれた。

 主催者を代表して田中宏一橋大学名誉教授は100年前、東京帝国大学に学ぶ朝鮮人留学生が『帝国大学新聞』に寄せた記事「若き日本へ寄す―朝鮮人虐殺について」を紹介。「留学生は『日本の教育は…朝鮮人を殺すことを以(もっ)て、日本国家に対する大いなる功績と思って居たように見える』と書いた。『朝鮮を自由独立のものにする』としたカイロ宣言、その履行を求めたポツダム宣言とどう向き合うかが、戦後日本の出発点だ」と述べた。

 大会には韓国・中国から虐殺被害者の遺族が参加。共通して訴えたのは、一家の大黒柱を失った家族の苦難であり、日本政府が歴史的事実を認め謝罪と補償を行うようにとの願いだ。米国サンフランシスコ「『慰安婦』正義連合」のジュディス・マーキンソンさんは「私たちはとても危険な時代を生きている。日本中で韓国人と中国人への憎悪が高まり、それが再軍備への大衆の支持を高める。人種差別や植民地主義から解放された世界を追求しよう」と警鐘を鳴らす。

 杉尾秀哉(立憲)・福島みずほ(社民)両参院議員ら多くの発言者から、国家の関与で「朝鮮人が放火」等の流言飛語が広がった事実を認めない日本政府、朝鮮人犠牲者追悼碑の建立に関わりながら追悼文の送付を頑なに拒み、ヘイト団体による追悼碑前集会を許可した小池百合子都知事に批判の声が上がった。国や都の責任をあいまいにし、隣国の脅威をあおるメディアの報道姿勢が排外主義者を野放しにしていることにも触れられた。

 川崎市在住の在日コリアン3世、崔江以子(チェカンイジャ)さんはヘイトクライムにさらされる現場から報告。「100年たった今、再び殺されるかもしれない。虫の死骸や抹殺予告が送りつけられる。100年前と今は地続き。差別投稿に“いいね”が多くつき、拡散される。差別禁止法は待ったなしだ」と訴える。大会は「歴史に誠実に向き合い、国家の責任を問い、再発を許さない共生社会実現の新たな一歩を踏み出す」ことを宣言した。

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS