2023年09月29日 1790号

【DSAが初めて見た基地の島・沖縄(番外編)/―ジェラルド・ダルボンさんに聞く(3)―/DSAによる勝利への闘い】

 DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)の急拡大に伴う課題をどう解決するのか。沖縄を訪れたDSAジェラルド・ダルボンさんに聞いた。(7月27日。まとめは編集部)


Q 若者の成長をどのようにサポートしてますか?

 2016年、19年の大統領候補バーニー・サンダースの選挙キャンペーンで多くの若者が参加しましたが、機関紙の登録をするだけのメンバーも多くいます。

 DSAは、新たな参加者を放置せず、ミーティングへの参加を促したり、戸別訪問をしたり、イベントに招待したり、キャンペーンやプロジェクトに関与してもらったりします。

 さらにDSAは、メンバー自身が興味・関心を持っている、たとえば住宅や労働、反戦などの分野で組織化する機会を提供しています。地域の支部や全国組織へつなぎ、何らかの形で貢献できる場所があると感じることができます。

 人びとは成果をあげている組織に参加します。キャンペーンで勝利する戦略を持つことで、人びとを鼓舞することができます。

 選挙に立候補する時には、勢いづけるためにキャンペーンを利用します。もちろん選挙で勝つことができれば、大きな目標を達成できると考えるでしょう。

 しかし、選挙で敗れたとしても、私たちは選挙を草の根の組織化、コミュニティの組織化として実践しているので、落胆することはありません。

 もし接戦で敗北したとしたら、人びとは「私がもう少し戸別訪問をしていたら」などと考えます。それは彼らが、どうすれば勝利できたかを、想像することができるからです。それが組織化し続ける原動力となります。それが何より大切なことなのです。

 私たちは社会を変革するという大きなビジョンを持っています。どうすれば到達できるのか。人びとは、それは不可能だと考えてしまいます。同時に、悲観的であり、自虐的な考えを持っています。でもキャンペーンを通じて、そうした考え方を変えていくことができるのです。

Q 闘いのエネルギーは何ですか?

 私は、人びとがDSA(の方針)を選択肢の一つとして見ているのではないと思っています。DSAの方針は、行う必要があるものだと考えているのです。

 気候変動を見ても、現行のシステムでは何もうまくいっていません。DSAの闘いを進めていかなければならないと見ています。

 希望どおりに事態が進まなくても、私たちは多くの勝利を収めてきました。過去の数年間で多くの議員を当選させました。そして、それによって人びとは“これは実際に持続性があり、組織化すれば実際に勝てる”ということがわかってきます。

 人びとを組織化すれば、何かしらの成果を収めることができます。

 例えばニューヨークでは、最近、再生可能エネルギーに関する非常に大きなキャンペーンに勝利しました。

 ニューヨーク州では、州が所有する再生可能エネルギー施設を労働組合が運営したり、労働組合が再生エネルギーを提供することができるようになりました。ニューヨーク州が可決した法律により、2040年までに100%再生可能エネルギーに到達する予定です。方針が実現するのです。

 また、家賃統制のキャンペーンでも勝利しました。家賃値上げに規制をかけることができたのです。

 こうした勝利が、私たちの闘争のエネルギーとなります。アメリカの戦争政策や社会の現実を直視すること自体が、私たちの闘う原動力になります。エネルギーになるのです。

 アメリカが、何十億人もの人びとにどれほどの悲惨さをもたらしてきたかを考えれば、それに対抗しない訳にはいきません。 (終)



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