2023年09月29日 1790号

【松田さん「君が代」調教裁判上告/「起立斉唱は慣例上の儀礼」論許さず/教育を市民の手に 10・5D-TaC総会へ】

 7月27日、大阪高裁は、私の控訴を棄却しました。

 私は、2015年3月の大阪市立中野中学校卒業式での「君が代」不起立不斉唱を理由に戒告処分を受け、処分取り消し裁判を闘ってきました。22年11月地裁での棄却判決に対して控訴し、その判決を迎えたのです。

 高裁判決は、「内容も知らせない『君が代』強要は調教だ」という私の主張に対して、「国歌斉唱時の起立斉唱行為は生徒の立場に立っても慣例上の儀礼的な所作だから調教教育ではない」「起立斉唱職務命令は憲法違反ではなく、自由権規約委員会の総括所見によっても、この結論は左右されない」としました。

 私は8月8日、上告状と上告受理申立書を提出。今、弁護団のみなさんとともに理由書を検討・作成中です。10月2日までに提出します。

 上告は、憲法判断にかかわる申し立てです。最高裁が勝手につくった「『君が代』起立斉唱行為は、慣例上の儀礼的な所作」論を徹底批判します。「日の丸」・「君が代」・入学式・卒業式の歴史と強制の事実を明らかにし、起立斉唱を命じる大阪市国旗国歌条例と職務命令が、憲法19条(思想及び良心の自由)違反であると主張します。

 上告受理申立は、憲法判断以外の申し立てで、経験則違反、国際法違反を主張します。生徒にとって起立斉唱行為が「慣例上の儀礼的な所作」とは言えないことを判例や弁護士会の人権侵害救済申立に対する勧告等で明らかにします。今年の小学校卒業式、中学校入学式で「君が代」を起立・斉唱しなかった当該生徒も意見書を寄せてくれました。自由権規約18条をめぐっては、国内法によって国際法を否定できないという「条約法に関するウイーン条約」を根拠に、勧告に従うべきことを主張します。

維新教育の闇と闘う

 10月5日、「大阪の教育行政の深い闇 今こそ 教育を 市民の手に」と題して、D-TaC(Democracy for Teachers and Children〜「君が代」処分撤回!松田さんとともに〜)結成8周年集会を開催します。

 大阪公立大学准教授・辻野けんまさんの講演「久保提言(維新教育に異議申し立てした校長の提言)はなぜ国際社会から注目されるのか〜大阪の〈教育〉行政の光と影〜」を受け、大阪市教育行政の実態とその変革の方向をいっしょに考えようという企画です。私も最高裁上告について報告します。ご参加ください。

(元大阪市立中学校教員 教職員なかまユニオン 松田幹雄)

D-TaC結成8周年集会
◇2023年10月5日(木)18:30〜20:30
◇エルおおさか606



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