2023年10月06日 1791号

【国際連帯の力で日米韓軍事同盟強化許さず/岸田政権を打倒しよう/MDS(民主主義的社会主義運動)集会基調】

 MDS(民主主義的社会主義運動)は9月23日〜10月14日、各地で集会を開き、この秋の闘う方針を示す。中心は、戦争・軍拡勢力をアジア、世界から追放し、平和を確かなものにすることである。岸田政権が強行する沖縄の軍事要塞化を阻止することであり、労働者、市民への負担増をさせない闘いをつくり出すことだ。集会基調の概要を掲載する(見出し、まとめは編集部 4・5面に関連記事)。基調全体版

1.日米韓軍事同盟

 日米韓3か国の首脳は「日米韓の安全保障協力を新たな高みへと引き上げ」「台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認する」と宣言(8/18)。少なくとも1年に1度、首脳、外相、防衛相、経産相、国家安全保障局長らの間で会合を開くこと、合同軍事訓練を定例化し実施することを確認した。

 これは、中国、朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を抑え込み、インド太平洋地域を支配していこうとする意志を示したものだ。

 自衛隊の元幹部が「台湾有事」のシミュレーションを行っている。「万が一、台湾有事が始まれば、米国のアジア最大の出城である日本は、台湾と同時に蹂躙(じゅうりん)される危険がある」(『自衛隊最高幹部が語る台湾有事』新潮新書)と、沖縄・琉球弧(南西諸島)における自衛隊の強化を要求している。これに応えたのが昨年12月の安保(軍事)3文書に基づく大軍拡予算である。

2.大軍拡予算

 岸田政権の公然たる戦争推進路線は、2024年度予算概算要求に明確に示されている。防衛省は、軍事費を23年度当初予算から13%増やし過去最大の7兆7385億円を求めた。

 なかでも沖縄・琉球弧(南西諸島)への軍事支出が突出している。宮古島への電子戦部隊配備などに65億円、石垣島駐屯地整備に131億円、与那国駐屯地での燃料施設整備、倉庫新設の調査・設計1億円、北大東村への航空自衛隊移動式警戒管制レーダー配備計画の調査・設計6億円など目白押しだ。まさに「沖縄の軍事要塞化予算だ」(9/2琉球新報社説)。



 このような軍拡路線を最高裁は辺野古新基地建設計画の設計変更をめぐる訴訟における不当判決で後押しした。だが、沖縄県は最高裁判決によって設計変更承認を義務付けられたわけではない。承認しなくても法律上も正当である。知事が不承認を継続できるように辺野古新基地建設阻止の闘いをさらに強めていかなければならない。

 沖縄では「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」が米軍基地だけでなく琉球弧全体への自衛隊基地建設強化にも反対を掲げ設立される。11月23日の県民大集会には、多くの沖縄県民、反戦・市民団体が参加する。この闘いに参加・連帯し、日本の大軍拡を沖縄から阻止しなければならない。

3.進む生活破壊

 岸田政権の軍拡路線は市民生活の破壊をもたらす。円安とウクライナ戦争による資源価格高騰によるインフレの結果、実質賃金は低下を続け7月は2・5%減少した。この結果、困窮世帯を物価高が直撃している。「おなかがすいても、水を飲んでごまかした」(7/5朝日)。



 この一方で、資本は巨大な利益を上げ続けている。22年度法人企業統計によれば、全産業で売上高9・0%増1578兆4396億円、経常利益13・5%増95兆2800億円、内部留保7・4%増554兆7777億円と過去最高を記録した(9/2朝日)。

 このような状況にもかかわらず、政府、資本は消費税増税などさらに市民、労働者の負担を増やそうとしている。

 介護保険では保険料引き上げ、利用者負担の引き上げが企図されている。さらに政府税制調査会中期答申(6/30)は労働者に対する増税の方向を示した。退職金控除、給与所得控除、配偶者控除、生命保険料控除の縮小廃止を目指している。

 10月1日より導入される消費税インボイス(適格請求書)制度は増税をもたらす。これまで課税売上高1000万円以下の免税事業者であった零細業者、フリーランスにとっては税負担が重くなる。経団連は異次元の少子化対策などの財源として消費税を取り上げ、「中長期的な視点からは、引き上げは有力な選択肢の一つ」と提言した(9/12朝日)。政府、グローバル資本は大軍拡とデジタル化の財源として消費税増税をもくろんでいるのである。

4.軍拡・改憲推す維新

 統一地方選で大幅な議席増を実現した日本維新の会は、「第2自民党」を標榜(ひょうぼう)し、改憲・軍拡・開発を進めている。

 7、8月行われた読売・早大共同世論調査によれば、「自公政権を今後も続けていくべき」は28%で、そう思わないが68%であった。「今後野党として主導権を握るべき」と思う党は維新38%、立民15%、どちらでもない38%であった。また維新のイメージとして「改革意欲がある」47%、「若者世代を大切にしている」26%であった(9/9読売)。維新のいう「身を切る改革」が一定浸透している。これが地方選での維新の大幅議席増をもたらした。

 しかし維新が進める最大の事業である、万博、カジノで問題が続出している。事業費増大などの結果、大阪市24年度予算は338億円赤字となる(9/9朝日)。維新は万博、カジノへの支出を続け、資本の利益を保障する立場である。それを、教育費無償化などを自らが実現したかのように宣伝し、各選挙で票を取っている。

 だが、反対運動でカジノを止めるならば維新を打ち破ることは可能である。

5.どう闘うか

 岸田内閣支持率は内閣改造後でも低いまま、変化はない。これに対し岸田政権は野党分断、抱き込みで乗り切ろうとしている。



 岸田は国民民主党の前参院議員矢田稚子を首相補佐官に任命した。露骨な取り込み策動である。現時点で衆議院選挙における野党共闘は進んでいない。21年の衆議院選挙で野党が候補者を一本化して勝利した59選挙区で、立憲と共産が統一しなかった場合30選挙区で敗北する可能性がある(8/27東京)。

 しかし、岩手県知事選挙、東京・立川市長選挙で自公候補が敗北した(9/3)。岸田政権に対する市民の批判は強い。大軍拡に鋭く対決する市民と野党の共闘を作り上げ、岸田政権打倒へと強めなければならない。

   *  *  *

 今こそ戦争・軍拡勢力をアジア、全世界から追放し、平和を確立すべき時である。世界の反戦運動はウクライナ戦争即時停戦、和平交渉を求めるグローバル行動週間(9/30〜10/8)を、国際反戦共同行動として闘う。これに合流しよう。日米韓市民の連帯でバイデン、ユン・ソンニョル、岸田を追放し、アジアに平和をつくりだそう。

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)、MDS、DSAIC(アメリカ民主主義的社会主義者国際委員会)3団体などの呼びかけでスタートしたZHAP(ZENKO辺野古反基地プロジェクト)署名運動を広げ、沖縄辺野古新基地建設を阻止していこう。

 MDSは軍拡を阻止し、戦争推進勢力=グローバル資本のあくなき利潤追求に対し、これを規制し、民主主義的社会主義に進むことを目指し闘っている。MDSに入り、共に闘おう。
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