2023年10月06日 1791号

【OPEN/ジェンダー平等実現! ケア労働の処遇改善を!/(OPEN〈平和と平等を拓く女たちの絆〉代表 大阪府茨木市議・山本よし子)】

 ジェンダーギャップ世界125位という惨状を前に、岸田首相は9月13日の内閣改造で女性閣僚を5人に増やした。けれども、岸田首相の「女性ならではの感性と共感力を発揮して」との発言に批判が集中した。女性だけに「感性」が求められるのは全くおかしい。おまけに副大臣・政務官54人の人事では女性ゼロと時代錯誤の姿を世界にさらした。

 ジェンダー平等のためには、女性議員や閣僚増だけでなく、経済分野の格差を縮めなければならない。何より女性の賃金をもっと上げることが求められている。

 OECD(経済協力開発機構)の2022年調査で、日本の男女賃金格差は統計に記された44か国中、ワースト4位。厚生労働省の22年調査では、一般の労働者(正規雇用)の平均月額は、男性が31万2千円に対し女性25万9千円。非正規雇用の女性は19万9千円。非正規で働かざるを得ない女性が多いことが女性の低賃金の原因の一つになっている。

 加えて、職種のちがいで賃金に格差があることが男女の賃金格差をつくりだしている。女性の介護職員は平均24万1千円で、パートで働く職員はさらに少ない。「だれにとってもいつ必要になるかわからない介護の仕事なのに、どうしてこんなに安いのか」との声は全く正当だ。

 とりわけ介護労働者などの低賃金の背景には、ケア労働を軽視する考え方がある。「資本主義経済では 家事や育児などの『再生産労働』は、女性が担うものであるとされてきた」(同志社大学教授・岡野八代さん)「介護は女性が無償でやる仕事、誰でもできる仕事に高い金は払えない≠ニいう考えがある。ケア労働は生命にとって、なくてはならない労働で専門性が必要。ケア労働の中で、直接働いた時間しか賃金が払われないというのはおかしい」(元大阪府立大学教授・伊田久美子さん)。ケア労働は歴史的構造的に女性が無償で担わされてきた。

 現在、介護施設現場はいっそうの低賃金と職員の締め付けが進んでいる。OPENの総会(9/15)で紹介された、不払い残業代を要求して裁判でたたかっている介護老人保健施設 神明会ラ・アケソニアでは、朝夕の更衣時間は勤務時間として認められていない、人がいないので終業時間になっても帰宅できないことも多いが残業代が払われていないという実態がある。「サービス労働は当たり前というのを変えたい。働いた賃金は払って」と声を上げてたたかっている。

 現場からのたたかいは、よりよい介護を作り出すと共に、介護労働へのあるべき正当な賃金を実現し、ジェンダー平等実現を切り拓いていくことにもつながる。

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