2023年10月13日 1792号

【議会を変える/大阪府茨木市議 山本よし子/公共交通を充実させ 住民の足を守ろう】

 茨木市は南北に長い市で、北半分は山間地域です。市の中心部は南部にあり、JRと私鉄が東西に走っています。山間部と中心部はバスで結ばれていますが、近年様々な問題が起こっています。

 今まで1時間に1本だったバスがいきなり2時間に1本になる、路線変更や運賃値上げになるなど、住民から買い物にも病院にも行けないという声が多く出ています。車がなければ生活できず、高齢者は取り残されています。そんな声をもとに、私は建設常任委員会で、市の公共交通政策充実を求めて発言しました。

 全国では、コミュニティバスを運行したり、民間バス会社に補助を行っている自治体がたくさんあります。隣の摂津市では、民間バス会社に委託して市役所や公共施設を巡回するバスを1日8便も運行し、しかも料金は無料です。また、箕面(みのお)市では、民間の路線バスが運行していない地域にコミュニティバスを走らせており、運賃は230円均一ですが、小児や70歳以上の高齢者、障がい者は100円均一になっています。

 住民生活に必要なバスの運行は、交通渋滞の緩和や環境負荷の軽減にもつながり、地域になくてはならないものです。私は茨木市でもコミュニティバスの運行を考えていないかを質問しましたが、現在のところ計画はないとのこと。

 ただ茨木市では、昨年北部の山間地区で、予約制の乗合タクシーの試験運行を行いました。民間バスの本数が少ないこの地域と商業施設を結ぶ乗合タクシーを無料で運行するものでした。利用者の約9割が60歳以上の高齢者でしたが、利用者の数が少なく本格実施には至っていません。

 この取り組みで特徴的だったのは、試験運行までの1年間に住民アンケートや自治会との意見交換会を繰り返し、住民と自治会、行政と業者との連携を行ってきたことです。市にお願いするだけでなく、住民と自治会の協力があって初めて実現できたのです。残念ながら、本格実施はできませんでしたが、タクシー券の交付など新たな方策を指向していくことになりました。

 バスにしてもタクシーにしても、今課題になっているのはドライバー不足と経営難です。必要な運行とドライバー確保のためにも自治体による公的な支援は不可欠です。交通は市民の権利。高齢者や障がい者など交通弱者≠はじめすべての市民の足を守る自治体の施策を求めます。
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