2023年11月10日 1796号

【1796号 民主主義を奪う代執行訴訟結審/辺野古工事阻止を全国から】

工事ありきの即日結審

 10月30日、沖縄辺野古新基地建設の設計変更申請をめぐって国が裁判所に県への承認命令を求めた代執行訴訟第1回口頭弁論で、福岡高裁那覇支部は審理を尽くすことなく即日結審した。

 300人近くの支援傍聴希望者らを背に自ら出席した玉城デニー知事は、代執行について「県民の民意こそが『公益』と認めなければならない。代執行という国家権力で踏みにじることを認めず、対話解決の道を」と訴えた。国側は、破綻した「普天間飛行場の固定化回避」を唱えるのみだった。

 弁論に先立つ10月27日、憲法学者ら有志66人が提訴取り下げと対話での解決を岸田首相らに求める緊急声明を発表していた。行政法研究者101人の同様の声明に続くものだが、国の要求通り結審となった。民主主義、地方自治を無視した暴挙だ。断じて許されない。

 判決日は「追って指定」とされたが、政府は裁判所の承認命令を想定し大浦湾側工事の早期開始を狙う。しかし、命令が出されても、公有水面埋立法に反する承認は行うべきではない。さらに最初の埋め立て承認自体を撤回できる。民意も道理も沖縄側にあるのだ。

背後に戦争・軍拡路線

 異常なまでの辺野古強行の背後には、沖縄・琉球弧の軍事要塞化、全国の基地「強靭化」や大軍拡という岸田政権の戦争路線がある。

 「台湾有事」をあおりたて10月14〜31日、大規模な日米共同演習「レゾリュート・ドラゴン23」が沖縄・九州で行われた。オスプレイが石垣島などに飛来し、自衛隊車両が公道を走り、軍事が日常をむしばむ。

 この戦争推進姿勢はパレスチナ問題でも同じだ。国連はイスラエル軍によるガザ侵攻に対し、「人道的休戦」を求める決議を121か国の賛成で採択した。しかし、日本政府は棄権し、米国は反対した。地上侵攻を開始しジェノサイド作戦を進めるイスラエル軍を後押しするものだ。岸田に命を守る姿勢は全くない。

 世界の闘いと連帯し、即時停戦を求め、ガザを解放しなければいけない。それは、いかなる戦争も許さず、どこも戦場とさせない軍事化阻止の闘いと一体だ。

民衆連帯で戦争阻む

 沖縄・琉球弧の市民は粘り強い闘いを続ける。代執行訴訟の日も、辺野古ゲート前などに抗議行動を続ける市民の姿があった。軍事演習に対し、うるま市のホワイトビーチ前では自衛隊車両の公道使用を阻止しようと座り込んで抗議した。

 こうした運動こそ「正々堂々とみなさんの思いを主張し、未来のために道をつくる」(10/30)と語る玉城知事を支える。この闘いに全国から連帯しよう。

 沖縄を再び戦場にさせないための「全国連帯 11月23日県民平和大集会」に集い、全国各地でともに声を上げよう。

  (10月30日)
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