2023年11月10日 1796号

【沖縄は無防備地帯をめざす/軍事力を持たずに平和に生きる道/「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」共同代表 具志堅隆松さん】

 戦没者の遺骨が眠る土砂を辺野古埋め立てに使うのは、死者に対する冒とくであり、人の道に外れる。

 私は収容できる遺骨は収容しDNA鑑定して遺族に返すが、収容が難しい微細な遺骨は現場安置し、そこに来れば子どもたちも「ここで誰かが殺された」と分かるような慰霊の場所として次世代に残したい。沖縄県は南部の未開発の緑地帯を買い取って県有地にしてほしい。その財源拠出を全国に呼びかけてほしい。

 自衛隊は「住民避難は自治体で考えてほしい」と言う。私たちは「シェルターを作らないで」と運動を起こした。シェルターは戦争になることが前提。戦争させないよう行政は百パーセント力を尽くすべきだ。

 「沖縄から軍隊がいなくなれば中国が攻めてこないか」と言う人がいる。中国は「非軍事化された沖縄には軍事的に関与しない」と公約してほしい。そうすれば琉球列島は中国に対してもアメリカに対しても平和の緩衝地帯になり得る。

 太平洋を囲む島じまも同じ被害を受けている。去年7月、国連の先住民族の会議に参加し、「加害者は同じ米軍。住民同士、連帯しよう」と話し合った。環太平洋を平和の緩衝地帯にするのも夢ではない。

 先住民族の権利に関する国連宣言には「先住民族の土地で軍事活動は行われない」とある。国連人権理事会はアイヌと琉球を先住民族と認定し、その権利を保障するよう日本政府に勧告している。琉球人遺骨返還訴訟の大阪高裁判決は、琉球民族を先住民族と初めて認めた。沖縄は世界の先住民と連帯し、「軍事活動をするな」と先住民としての権利を行使できる。

 日本が憲法9条を捨てるなら、沖縄は自分たちで平和に生きる道を模索する。二度と戦争協力しない。

 防衛と外交は国の専権事項というが、違う。国に任せていたら沖縄は再び日本を守るための軍事的防波堤にされてしまう。沖縄はむしろ無防備地帯、非武装地帯をめざすべきだ。

 私は「無防備地域宣言沖縄ネットワーク」の呼びかけ人だった。当時は議会で採択されなかったが、今なら受け入れられるのではないか。沖縄に日本軍が駐屯していなければ沖縄戦は起こり得なかった。米軍に占領されたとしても、「徹底抗戦」「死んでも領土を守る」というのは力=軍事力を持っている前提でしか成立しない。私たちは力を持っていないし、これからも持とうと思わない。それでも生き延びられる。ウクライナ戦争、ガザの状況を見ても、軍事力を持たないで生き延びることをみんなで確認する時代にすべきだ。

[「命(ぬち)どぅ宝団結まつり」前夜祭交流会(10月28日)での発言を編集部の責任で要約しました]

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