2023年12月01日 1799号

【未来への責任(387)12・8長生炭鉱意見交換会へ】

 12月8日、「長生(ちょうせい)炭鉱の水非常を歴史に刻む会」が国との意見交換会を行う。韓国からご遺族も初めて参加する。

 1942年2月3日、山口県宇部市にあった海底炭鉱が水没し183名が犠牲になった。そのうち136名が朝鮮人労働者。未だ遺骨は引き上げられていない。今も暗く冷たい海に眠ったままである。

 逃げようにも逃げられない強制労働の環境で働かされた。事故当日はネズミが動きまわっているのを見て、労働者は危険だ、と入るのを拒否したが管理者によって無理矢理入坑させられた。2本の排気竪坑(ピーヤ)が墓標のように海に見える。

 私と刻む会のご縁は、刻む会のみなさんが韓国人軍人軍属のDNA鑑定を政府に求める意見交換会に何度も参加いただいた関係で、私が刻む会の政府交渉チームに入って協力したことに始まる。

 私の仕事は山口県での闘いを国政の場につなぐことだ。今年4月7日、「沖縄の風」の良鉄美参院議員により30年ぶりに長生炭鉱水没事故について、外務大臣に国会質疑が行われ答弁があった。初めて質問主意書も提出され、内閣の答弁を待っている。今、100名を超える国会議員にチラシを配布し12・8意見交換会への参加を呼び掛けている。韓国大使館を通じ韓国政府へも働きかけた。

 犠牲者の一人、キム・ウオンダルさんが家族に送った最初で最後の手紙がある。「警備も厳しく、一切の自由もなく、外出もできない拘束の中で生活しています。出入り口の門には武装した警備員たちが厳(いか)めしく見張っています。体の具合が悪いからと言ってその日の仕事を拒絶でもすると、動物以下の扱いを受け暴力を振るわれ、食事もろくにもらえず空腹で過ごす日があります。…いずれにしろ必ず脱出して必ずお母さんのところに帰ってきます」。強制労働の証言だ。

 犠牲者の名前もわかっている。遺族はDNA鑑定も行い遺骨発掘を待っている。陸地から坑口があり手の届くところに犠牲者たちは眠っている。

 2004年の盧泰愚(ノテウ)韓国大統領(当時)の民間徴用者遺骨返還要求に対して答えた小泉首相(当時)の「何ができるか真剣に検討する」との約束の実現を迫らねばならない。

 植民地支配で犠牲になったご遺族の気持ちはみんな同じだ。みんなで一つになって前進したい。

 意見交換会は衆議院第一議員会館 国際会議室で午後3時から5時。ぜひとも参加してほしい。

(戦没者遺骨を家族のもとへ連絡会 上田慶司)

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