2023年12月01日 1799号

【カジノ計画実施協定はでたらめ 市民とIR推進局の団体協議で怒り爆発 大阪】

 「夢洲にカジノはいらない。即時中止」を訴える「夢洲カジノを止める大阪府民の会」と「平和と民主主義をともにつくる会・大阪」による大阪府・市IR推進局との団体協議が11月14日、市役所内で行われた。

 この協議は7月、両会が吉村洋文大阪府知事・横山英幸大阪市長らに提出した「区域整備計画認定の『7つの付帯条件』を実施しないまま計画推進、協定締結を行わないことを求める要請書」についてのものだったが、4か月近くも放置され9月に実施協定は締結。この不当な遅延に、山川よしやす「府民の会」事務局長はまず厳しく抗議した。

 協議の中心は、結ばれた実施協定をめぐって、とりわけ今後3年間は違約金なしに事業者側が撤退できる「解除権」問題や、それにも密接に関係する地盤沈下、ギャンブル依存症などにかかわる追及となった。

幽霊会社と協定?

 IR推進局の担当者は「詳しいことは答えられない」の事実上の回答拒否に終始したが、様々な問題点がいっそう明らかになった。

 驚いたのは、11月末にも予定とされる液状化対策工事を、大阪港湾局が発注するのではなく、大阪IR株式会社に丸投げすること。「解除権」問題とも関連し、最終的に工事費は市側が支払うことになる。競争入札もなく、業者名公開も拒むなど、公共事業の体は全くなしていない。

 大阪IR株式会社は大阪市北区に事務所を構えているが、実態は電話もなければ社名の入った表札もない。しかも社員は取締役の2人だけの幽霊会社状態だ。唯一、連絡の取れる東京の局番に電話を入れると、委託された会社につながるだけ。そんなペーパー会社と「実施協定」を結んだのだ。東京五輪や大阪万博と同じような「疑惑の臭い」がプンプンする。

 参加メンバーは「788億の血税が中抜きされる恐れがある」「津波対策や防災など安心安全の責任は誰がとるのか」と怒り爆発だ。

 結局、依存症対策や地盤改良も進展なく、最も大事な「地域との双方向の対話」などが全く進んでいないことが改めて証明された。

「博打で成長」などノー

 たとえすべての「条件」がクリアされても、IRカジノは絶対反対だ。金銭感覚を狂わすギャンブル依存症患者が増え、治安や生活環境の悪化で大阪が灰色の町になるのは目に見えている。吉村知事や横山市長は「2兆円を超える経済効果がある」と主張するが、博打の売り上げで大阪が成長するだろうか。

 地域の活性化とは何か。そのためにはどんな施策を講じるべきか。もう一度、腰を据えて考え直せ。「中止」は今なら間に合うぞ。

(大阪市城東区・林一男)

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