2023年12月08日 1800号

【介護保険制度改悪許さない 利用料2割負担者増に反対 公的支出拡大を厚労省に要請】

 介護保険改定案を年内にまとめるために11月6日、社会保障審議会介護保険部会が開かれた。検討されているのは、(1)利用料の2割負担対象者の拡大(2)介護保険料の低所得者軽減率の拡大と、一定以上所得者の保険料率拡大(引き上げ)(3)老健施設などの相部屋の室料の自己負担などだ。

 11月17日ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)と「尊厳ある暮らしを連絡会」の14人が、厚生労働省老健局と交渉した。

署名1300筆を提出

 最初に、改悪反対署名1300筆を提出。介護保険料の引き上げや利用料の2割負担への引き上げ反対など、現場の声を伝え、公的支援の拡大を要求した。

 介護保険料の国基準の変更を機に、大阪市で介護保険料大幅引き上げ(現在約8000円が9300円に)のように、各自治体でも大幅引き上げが予想される。

 低所得者への国の改定案では負担減にならず、多くの人は引き上げになる。国は、自治体の一般会計からの繰り入れは望ましくないと繰り返すが、物価高の中、市民生活を守るために一般会計からの繰り入れを認めることを求めた。

 要請では、週4回デイサービスに行く要介護1の91歳の女性の例をあげた。1か月の利用料は平均8万6000円(食費 宿泊費込み)、遺族年金で何とか払えているが、利用料が2倍になるとサービス利用を減らさざるを得ない。利用料の2割負担は絶対反対、と強く訴えた。

大幅賃上げは国の負担で

 厚労省側の介護職員処遇改善(給与月6000円引き上げ)原資を介護報酬増で捻出との回答に、多くの批判の声が上がった。利用者負担増に直結するからだ。

 利用者の負担増になる賃上げは現実には困難で、全職種平均との差額8万円を引き上げるのは、介護報酬改定では不可能だ。介護職員が確保できず閉鎖を余儀なくされた事業所もある。国の負担で引き上げ原資を確保しなければ、介護職員は確保できず介護保険が破綻すると訴えた。厚労省も反論はできなかった。

 厚労省は「(介護保険財源の)市民と国と地方自治体の負担割合は適切」と繰り返すが根拠は示せない。

 市民の負担増、給付削減を繰り返すことは介護保険を破綻させる。今の負担割合は不適切、25%の国の負担割合を50%に増やすことで負担増、給付削減の繰り返しを終わらせることができる。国の負担増を検討するよう私たちは要望した。

 今後、各自治体で介護保険料改定案などが示される。保険料引き上げ反対の声を自治体に届けよう。

(大阪・尊厳ある暮らしを連絡会 手塚隆寛)

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