2023年12月08日 1800号

【たんぽぽのように/戦争と平和/李真革】

 ウクライナで、アゼルバイジャンで、パレスチナで、世界各地で武力衝突と戦争が続く中、11月21日の夜には、Jアラートが騒々しく鳴った。

 朝鮮が軍事偵察衛星「万里鏡(マンリギョン)1号」を新型ロケット「千里馬(チョンリマ)1型」に搭載して発射に成功した。去る5月と8月の失敗の後、3回目で成功と公表したのだ。

 韓国の合同参謀本部は「軍事偵察衛星」の衛星体が軌道に進入したことを認め、衛星発射後4時間余りで「9・19軍事合意」の一部条項の効力を停止する手続きに本格的に着手した。2018年、ピョンヤンでの南北首脳会談を契機に、軍事境界線(MDL)周辺の陸海空で衝突を防ぐ緩衝区域を置くという「9・19軍事合意」の無力化を宣言した。

 これに対抗して朝鮮側も11月23日、「9・19軍事合意」の完全無効化を宣言し、軍事境界線の周辺地域に「より強力な軍隊と新型の軍備」を配置すると表明した。韓国政府は「北が挑発する時には強力に反撃する」方針を明らかにし、南北間の偶発的な軍事衝突の懸念が高まっている。

 さらに、中国と台湾との緊張関係、日米韓の三角同盟の強化に対する中国とロシアの反発などを考えると、この東北アジア地域での戦争の危機はこれまで以上に高まっていると見える。

 一方、激しい対立関係にある米国と中国は、アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議の期間中に首脳会談を持ち軍事対話を復元することにした。日本も中国と様々なチャンネルを通じて対話を試みている。

 南と北も最悪の悲劇を防ぐために、軍事対話のチャンネルを復元し、危機を管理する努力をしなければならない。南北間の交流と経済協力を再開すべきだ。武力紛争で失う経済的利益があれば、その紛争が起こる確率は減る。

 戦争を通じて利益を受ける者と苦しむ人が誰なのかは、人類の歴史を通じて十分に見てきた。

 米国やEU、ロシアなどの軍需企業やそれに投資する金融業界は今、戦争特需を享受している。2021年に72億ドル程度だった韓国の防衛産業の輸出規模も、なんと200億ドルに達すると予想される。

 戦争を防ぎ、平和を作りだすために、各国の市民がともに連帯行動に乗り出さなければならない時だ。

(筆者は市民活動家、京都在住)
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