2023年12月08日 1800号

【私たちの沖縄を戦場にさせない/世代と国境を越え、平和への心ひとつに/県民平和大集会に1万人以上】

 11月23日、「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」が呼びかけた「県民平和大集会」(那覇市)には、1万人を超える県民、全国からの市民が集まった。

 会場にはキッチンカーが何台も並び、親子連れも参加しやすい企画、小魚が集まった巨大アート『スイミーバイ』の制作コーナーで子どもらも作業を楽しむ。コンサートには、若い世代の島唄ポップスや青年会の古典エイサーが登場した。

 集会は、若者が進行し、シニアと若者、アピールと歌が溶け合って運営された。

 大歓声に応えた玉城デニー沖縄県知事は「子どもたちの未来が戦争の未来であってはならない。私たちが求める平和の思いを全国で、全世界で共有するために、声をあげよう」と県民とともに闘う決意を表明。

 狩野史江さん(与那国島)の「自衛隊誘致に賛成した住民もミサイル配備には疑問の声。軍拡で島が荒らされる今『島を捨てられない、守っていこう』の思いが強まっている」を皮切りに、宮古・石垣・奄美・馬毛島などの軍事要塞化の報告が続く(詳報次号)。

 沖縄戦体験者、山根安行さんは石垣など八重山諸島の民謡『とぅばらーま』に乗せて訴える。「戦争は地獄です。この世の中で一番ひどい戦争、愚の骨頂である戦争を二度と再び起こしてはなりません」

 随唱した若者代表の桑江優稀乃さんが若者からのメッセージ≠続ける。 「戦争の足音の高まる沖縄に危機感を感じています。今この島は、安心して暮らせる、子育てができる島ではなくなっています。でも私たちは一人ではありません。世代や背景、価値観はさまざまでも、いま沖縄を戦場にさせない、平和を望むその点で私たちはみんな同志です。本土にも海外にもたくさんの仲間がいます。この沖縄から日本に世界に平和の輪を広げましょう」

 「県民の会」共同代表の具志堅隆松さんが「沖縄を戦場にさせない、日本を戦場にさせないために、県民一人一人が戦争は嫌だと意思表示する機会を、このような集会をこれからも持ち続ける。沖縄を、日本を戦場にするな」とまとめた。

沖縄の闘いは次代へ

 「県民の会」事務局長の山城博治さんが、▽この集会を担った若者たちへ引き継ぐため、全力で支える▽沖縄の島々の運動を孤立させず、連携して強める▽自民党の戦争政策に反対して、沖縄を戦場にさせず、この国を戦争国家にさせない全国連帯をスタートさせる―と行動提案。「若者たちの言葉は、まだ私たちの胸に届かないかもしれない。まだつたなくて反戦平和を語る力強いメッセージがないかもしれない。けれども思いは同じ。必ずや次代は彼らに引き継ぐ。今日、歌を歌い、メッセージしてくれた若者たちに感謝し、全力を挙げて私たちも支えていく」と強調した。

 発信されたメッセージは、ZENKOから参加した若者にも熱く響いた。「市民運動の大切さや力強さ、連帯とは何かを学んだとても有意義な時間でした。『連帯』とは言葉だけのものではなく、同じ気持ちを持ち、一緒に闘うことだということは、労働組合活動でも軸となる考えになりました」

戦争を止める思い全国へ

 集会のクライマックスは、若者たちが企画し、完成した巨大アート『スイミーバイ』(4m×10m)の舞台への登場だった。すべての集会参加者が拍手を送り、平和を願う思いが一つになったことを実感した。

 これまで積み重ねてきた沖縄の平和運動が、市民運動と若者たちへと引き継がれた。

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は、12月2〜10日「スピーキングツアー」を成功させ、沖縄連帯の運動を強めるために総勢62人が参加した。

 当日は集会準備にあたり、朝9時からテント立て、チラシ折込、会場警備、カンパ集めとフル稼働し成功を支えた。会場に至る通路では、米バイデン政権に辺野古新基地建設の中止を求め「台湾有事」を起こさせないことを訴えるZHAP(ZENKO辺野古反基地プロジェクト)第二次署名集めにも取り組み、400筆近くの協力が寄せられた。



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