2023年12月15日 1801号

【またか 米軍輸送機オスプレイ墜落/頭上の凶器¢ヲ時退役を】

「自滅」する軍用機

 米軍横田基地所属の輸送機オスプレイが11月29日、岩国基地から嘉手納基地に向かう途中、鹿児島県屋久島沖に墜落した。目撃者によれば、左エンジンから火をふき、機体が回転しながら海面に激突した。搭乗員8人が犠牲となった。

 開発段階から死亡事故が起きていたオスプレイは実用配備されてからも事故が頻発した。見過ごせないのは原因を取り除かないまま、飛行を続けていることだ。

 2022年6月に米カリフォルニア州で起きた墜落事故の調査報告書を米海兵隊が23年7月に公表した。「人為的ミス」の可能性を否定し、エンジンの回転をプロペラに伝える接続部クラッチに原因があったとした。オスプレイ特有の構造であり、どのタイプの機体にも共通する。だが、報告書は、最終的に「根本的原因は不明」。報告書公表直後の23年8月、オーストラリアで演習中のオスプレイが墜落。搭乗者23人のうち3人が死亡、5人が重傷を負う事故が起きている。

激化する軍事演習

 米空軍安全センターによれば、オスプレイの事故率は米軍全体の有人機に比べ際立って高い。しかも事故は増加傾向にある(12/2YAHOOニュース)。それは軍事演習の激化に呼応している。

 日米合同演習は対中国包囲作戦を明確にし、ここ数年で倍増している。21年から始まる日米合同演習「レゾリュート・ドラゴン」。オスプレイを使った輸送演習が含まれる。今年10月、はじめて九州、沖縄を演習場とした。米軍普天間基地所属のオスプレイとともに陸上自衛隊のオスプレイが参加。陸自のオスプレイが初めて沖縄に飛来し、石垣空港を使用した。「国民保護の患者輸送」を名目としているが狙いは民間空港の利用拡大だ。

 実際、9〜10月にかけ、米海兵隊のオスプレイが石垣、奄美、徳之島、大分の空港に「緊急着陸」を繰り返していた。「機体の異常」を理由としているが、それが事実ならば、事故は起きるべくして起きたということだ。

 設計では1200時間毎にエンジン交換が必要とされているが、実態は「約100〜200時間で交換」と見られている。構造的欠陥を持つオスプレイは整備点検の遅れとともにますます危険度を増しているのだ。


人命・生活の破壊者

 他の輸送機に比べ、値段は高く、運搬物資の重量も制限され、常に墜落のリスクまでついて回るオスプレイ。使っているのは米軍と自衛隊しかない。他国の軍隊は導入を避けた。米国ボーイング社は早ければ25年には生産ラインを閉鎖する。売れないからだ。

 なぜ日本政府はオスプレイに執着するのか。戦争できる国へと自衛隊を鍛えるために、米軍の戦争ノウハウを一日でも早く取り込むために米軍に同化しようとしているからだ。米軍が「不時着」といえば「不時着」と言い、「墜落」と修正されれば「墜落」と言い直すのも、主体的な判断を停止しているからだ。

   *  *  *

 今回の墜落現場は、高級魚シマアジの優良な漁場。多くの漁船が操業中だった。漁業者に被害が出なかったのは不幸中の幸いだ。だが、墜落事故、その後の捜索で漁ができなくなった。16年名護市沖にオスプレイが墜落した時、米軍は現場を封鎖し、放射線防護服を着た米兵が機体を回収した。エンジンや機体に放射性物質を使っているからだ。今回、すぐさま搭乗者や機体の回収をしたのは漁業者だった。そんなリスクがあることを米軍も海上保安庁も漁業者には知らせていない。

 こんな危険な軍用機が日本列島を飛び回っているのだ。すぐさま飛行停止させ、全機退役させることが、市民の生命、生活を守る最も速い、効果のある方法だ。

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