2023年12月15日 1801号

【明日をつくるなかまユニオン/働いた分は払われるべき/介護労働関連予算拡大へ全国的運動に】

 なかまユニオン神明会ラ・アケソニア分会員らが提訴した介護職員残業代裁判の審理が11月9日、大阪地裁で満員の傍聴参加で行われた。介護労働条件の根本的変革に連なるこの闘い。大阪・箕面(みのお)市などの介護施設・神明会ラ・アケソニアの分会代表で原告でもある渋谷国彦さん、闘いを支える井手窪啓一なかまユニオン執行委員長に報告を寄せてもらった。

働いた対価を支払え/介護労働を転換する闘いに

 神明会残業代裁判では原告16名が未払い残業代の支払いを求めて裁判に立ち上がりました。

 神明会では、制服への更衣時間を含めない、残業を15分単位で計算し15分未満を切り捨てる、残業は事前申請として突発的残業を容易に残業と認めない、深夜勤務前の準備時間1時間を自主的なものとして申告させない雰囲気を作る―などで、膨大な残業代の不払いが発生していました。

 今回の裁判は、こういった働いた分の賃金を支払わせるという当たり前の闘いです。しかし、その意義はそれだけにとどまりません。

 全国の介護労働者の平均賃金は、全産業平均賃金と比較して8万円も低いと言われています。この低賃金を改善し、生活できる賃金を獲得し、雇用を安定させる取り組みです。雇用の安定は、労働者の利益になるだけでなく、利用者の安全を確保し介護の質を高める、利用者の福祉を大きく向上させるものでもあります。

 また、賃金の原資は介護報酬が大部分を占めており、賃金を大幅に増大させるには、介護保険制度そのものの改善、政府の社会福祉予算の増大を必然的に求めていかなければなりません。

 厚生労働省への要請を繰り返し、職場の枠を超えた労働者の連帯で、政府予算の民主的組み替えをする全国的運動につながっていく取り組みです。そういう展望を持って闘います。

(なかまユニオン執行委員長・井手窪啓一)

不払いは許さない!/仲間と共に勝利するぞ!

 組合員で請求当事者のAさんと共に準備し、10月22日の団結まつりに参加しました。

 Aさんの孫(大学生)も「(残業代は)必要なことなのに、なぜサービス残業になるのか? 施設がこの悪い状態をどういう風に見ているのか? 改善しないといけない。考えられない」と、準備を手伝いに来てくれました。Aさんは「サボっているわけではない!働いた分は払われるべきだ!タイム打刻で計算して!」とステージで堂々と訴えることができました。

 私たちは、応援してくれる仲間の声により、多くのことを学んでいます。

 「不払いはあかん!なんでこれがサービス残業になるの?」と署名してくれた仲間や、「自分も、少しくらいサービス残業は仕方ないと思っていた。しかし、そうではないのでは、と思えた」と述べてくれた仲間。

 そして「この闘いは、介護現場で働く権利を守る闘いです。と同時に、高齢者が介護を受ける権利を守る闘いであると思う。だから他人事ではない」と、毎回傍聴に来てくれる仲間。

 また「私の介護施設でも、残業は事前申請制で、サービス残業が蔓延(まんえん)していた。しかし、闘いによって変えてきた」と力強く語る仲間。

 このような仲間と出会うことができて、この裁判が自分たちだけではなく、介護施設で働く仲間や高齢者・家族、そして、不払い残業に直面する労働者へ、さらに共感を広げられるし、広げることで勝利につなげなければならない、との思いを強くしています。

 来たる12月21日大阪地裁404号法廷(11時30分)での審理に向けて、公正判決を求める署名運動に全力で取り組みます。

 神明会経営者は不払い賃金を支払え!

 打刻による賃金計算制度に変えよ!

(なかまユニオン神明会ラ・アケソニア分会代表・渋谷国彦)



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