2023年12月15日 1801号

【みるよむ(675)/2023年11月25日配信/イラクの性的少数者への人権侵害を/容認する政府・警察を告発】

 イラクでは性的少数者に対する社会的な攻撃が強まり、有名人を暗殺する事件が増えている。2023年10月、サナテレビはこの問題を取り上げた。

 現在、イラクは民主主義や基本的人権が保障されるようになったと言われている。しかし、性的少数者に対してはどうなのか。

 映像の冒頭、2018年に殺害されたモデルだった性的少数者タラ・ファレスさんを悼み、暗殺を非難するヌールBMさんの映像が流れる。タラ・ファレスさんは、オートバイに乗った犯人によって殺害された。また、ショーダンサーで長い金髪だったカラール・ヌーシさんも殺害された。

 今回の映像のアラビア語タイトルは「ヌールBMは『異質』であったために暗殺された」である。ヌールBMさんがソーシャルメディアに投稿した動画が、社会の反動勢力にとって気に食わなかったのだ。

 性的少数者に対する襲撃、暗殺はオートバイが使われることが多いというが、ヌールさんの場合、犯人は配達員に変装して周辺を歩き回っていた。明らかに計画的な殺人だ。性的少数者を平然と暗殺する手口には怒りがわく。ところが、こうした人殺しに対し、街角やSNS上では「彼は死んで当然で、若者を、その心を毒する人間から救ってくれた配達員に心から感謝している」などのコメントが飛び交っているのだ。

迫害助長する警察当局

 警察当局も、おぞましい殺人事件についてまともな調査も行わず「犯罪を見て見ぬふりをしている」有様だ。サナテレビは、ヌールBMさんの殺害についても犯人不明で終了するだろうと予想している。これでは警察は犯罪を助長し、加担していると言うべきだろう。

 政府や警察は少数者に対する迫害と人権侵害を容認している。サナテレビは、すべての人権を守るために立ち上がろうと訴えている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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