2023年12月22日 1802号

【みるよむ(676)2023年12月2日配信:ハムダニヤの結婚式会場の火災大惨事/これはキリスト教徒殺人だ】

 9月23日、イラク北東部の都市モスル近郊のハムダニヤ地区で行われていたキリスト教徒の結婚式会場で突然火災が発生。死者140人以上、負傷者約250人もの犠牲が出た。

 サナテレビは世界各国でも報道されたこの大惨事の実態と社会背景に迫った。

 この事件では結婚式場の記録ビデオが残されている。

 式は通常通りに進行して新郎新婦が踊り、そして花火装置が作動した。その数秒後に巨大な結婚式場の屋根全体が燃え上がり、会場には煙が充満した。ところが、この花火装置は「コールドスパーク装置」と呼ばれ、可燃性ではない。火花のようなものが盛大に出るが、火がついたり燃えたりはしない。本来、火事になることなどあり得ない。

 しかも、何百人もの会場に、安全対策がとられていなかった。非常ベルは切られていた。市民防衛隊や救急車が到着したのも火災発生から30分もたっていた。通常では考えられないこの事件は、結婚式場を舞台にしたキリスト教徒への殺人攻撃だと言われている。

 事件の黒幕とされるのがラヤン・アル・キルダニというイスラム政治勢力の政治家である。彼はバビロニアのシーア派私兵のリーダーであり、人権侵害者として米国の制裁措置リストにさえ載った人物だ。モスル近郊はイラクでもキリスト教徒が多い地域だが、キルダニはキリスト教徒を弾圧し対立していた。

捜査当局も隠ぺい狙う

 捜査当局は出火の原因を隠ぺいしようとしているが、当事者であるキリスト教徒の新郎もキルダニの仕業であると確信している。

 イラクのモスルはISIS(いわゆる「イスラム国」)支配で女性や宗教上の少数者が迫害を受けてきた。現在も人権侵害や暴力的な攻撃が絶えない。サナテレビはすべての人たちの人権を守るために共に立ち上がろうと訴えている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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