2023年12月22日 1802号

【冷静な認識と事実で ノーモア日中戦争の声を 泉川友樹さん】

 安倍元首相が「台湾有事は日米同盟の有事」と、中国と対決する可能性に言及したことを発端に、根拠のない「厳しい安全保障環境」「戦う勇気」などが叫ばれ、「台湾侵攻が近い」から軍備増強へ、となっている。

 しかし、事実は、台湾が一方的に独立宣言するなどがない限り、武力行使の可能性はきわめて低い。中国指導者の台湾に対する立場表明の内容に変更はない。中国にとって台湾問題は国家の根幹に関わるものであり、見誤ってはならない。

 2023年は日中平和友好条約締結45周年。不戦の約束と互恵関係の上に、22年の日中貿易総額は3574億ドルと、日本にとって中国は最大の貿易相手国で、投資も人的往来も最多だ。

 日本政府はアメリカと認識を一にし、中国の強大化と日米の抑止力の相対的低下が「台湾有事」を招くとする。中国は、原則を踏み越えた日米の台湾への介入が「独立」を誘発し「有事」を招くと懸念している。

 「認識の相違」と「信頼関係欠如」が問題の根源。この溝をどう埋めていくかを考えるのが「台湾有事」を防ぐ共通のミッションだ。

 沖縄を戦場にしないためには「ノーモア日中戦争」の声を広げていくことだ。沖縄県は保守仲井眞県政時代から一貫して中国との交流を大事にし、デニー知事訪中もその流れの上にある。

 私自身も提案した「沖縄を再び戦場にしないよう政府に対話と外交の平和構築を求める意見書」は3月県議会で可決。本土メディアは報じなかったが、軍備強化ではなくこうした「地域外交」が「有事」を止める。

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS