2023年12月22日 1802号

【原発避難者住まいの権利裁判 行政の役割放棄あらわな福島県】

 原発避難者住まいの権利裁判の第7回口頭弁論が12月4日、東京地裁で開かれた。11人の原告中7人が出席、福島県の人権意識の低さに怒りを新たにした。

 報告会で説明された福島県の反論は、▽親族訪問による退去・支払いの催促はプライバシー侵害に当たらない▽「子ども被災者支援法」は理念法で具体的義務を課しておらず違反にはならない▽「国内避難民に関する指導原則」に法的拘束力はない―といったもの。

 弁護団からは「個人情報の保護を全く理解していない」(光前幸一弁護士)「人権意識が驚くほど低い」(古川(こがわ)健三弁護士)「国際人権法の常識を『原告独自の見解』とみる非常識は、正されなければならない」(柳原敏夫弁護士)など、批判が相次いだ。法律の趣旨にのっとり被害者を救済すべき行政の役割放棄に等しく、県は人権意識の低さをさらけ出した。

 次回は来年3月18日。原告側が県への反論を徹底して行う。住まいの権利裁判を支援する会の瀬戸大作事務局長は「原発事故避難者支援の歴史をも全否定する無責任な内容に対し、弁護団にまかせるだけでなく、市民の力で避難者の人権を守る闘いを進めよう」と訴えた。

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