2023年12月29日 1803号

【植民地政策、差別政策の極み/辺野古代執行を考える院内集会/“辺野古唯一”は“沖縄の犠牲唯一”】

 「沖縄の民意と地方自治を踏みにじる辺野古基地建設の代執行を考える院内集会」が12月12日、総がかり行動実行委員会などの主催で開かれた。

 白藤博行・専修大学名誉教授が講演。「日本の地方自治は憲法と地方自治法、公有水面埋立法などの個別行政法によって重層的に保障されている」と前置きした上で、「地方公共団体に対する国の関与の中で一番ひどい最悪最強の仕組みが代執行。本来あってはならない。こんな裁判は憲法的に、理論的に、合理的に、存在的に、常識的に、感情的に、人間的に、絶対的にあり得ない」とし、「沖縄の生きる力を奪い、文化や価値観を壊す権利など国には到底認められない。自治権(自己発展権・自己形成権)を保障することで初めて、沖縄を憲法の適用のもとに置くことができる。沖縄が正義と地方自治を貫く限り、決して代執行訴訟なんかに負けたりしない。正義の上にしか平和は成り立たない」と強調した。

 白藤さんは最後に、翁長雄志前知事が「沖縄県民は自由・平等・人権・自己決定権をないがしろにされてきた。これを私は『魂の飢餓感』と表現する」と述べたことを振り返り、「“辺野古唯一”論は“沖縄の犠牲唯一”論でしかない。“安保従属型の法治国”論を続けないために最後まで闘う」と力を込めた。

 沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんの「知事は埋め立て承認の再撤回で県民を奮い立たせるべきではないか」との質問には、「代執行訴訟で侵害されているのは沖縄県民の基本的人権。再撤回はあり得るが、本土の人間にとっての使命は、沖縄県民がせめて本土と同じくらい人権が保障され福利が享受できるよう、この訴訟で最後の闘いをすることではないか」と応じた。

 元名護市長でオール沖縄会議共同代表の稲嶺進さんがリモートで訴え。「民意と自治権の侵害、強権・代執行で沖縄を追いつめる横暴に絶対に負けるわけにはいかない。負担軽減の飾り文句とは裏腹に、先島に自衛隊基地・ミサイルが配備され、米海兵沿岸連隊も2025年度までに沖縄に配備される。植民地政策、差別政策の極みと言わざるを得ないのが沖縄の現状だ。私たちは勝つまであきらめない」と述べ、全国からの連帯と支援を呼びかけた。

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