2024年02月09日 1808号

【みるよむ(682)/2024年1月27日配信/イスラエルのパレスチナ攻撃を利用 暴力支配や汚職を覆い隠す勢力】

 2023年10月以後激化しているイスラエルのパレスチナ・ガザ無差別攻撃に、イラク国内でも政治家らが批判の声を強めている。しかしそれは本当に「パレスチナの大義」のためなのか。11月、サナテレビはこの問題に焦点を当てた。

 イスラエルによるアパルトヘイトとジェノサイドに対する批判は中東でも高まっている。イラクでも、どの政治家も、政党も、イスラム政治勢力も、民族主義勢力も、「パレスチナとの連帯」を掲げる。しかし、それは本当に人間の尊厳や人権、自由を基にした「連帯」なのだろうか。サナテレビによれば、どうもそうではないようだ。

 たとえば、長年にわたって独裁政治を続けたサダム・フセインも「パレスチナの大義を誇り、エルサレム軍と呼ぶ軍隊を結成した」。ところが、この軍隊は「イラクの大衆に対して残虐な行為」を続けていたのだ。

 イスラエルによる大量虐殺やそれを支える米国への市民の反発を利用し、政治的影響力を復活させているのがシーア派の指導者ムクタダ・アル・サドルだ。だが、彼の私兵は市民に対する暴力支配で有名だ。

大義利用する宗派私兵

 他の宗派私兵の指導者たちも「イスラエルとの戦争に参加する」などと表明しているが、こうした勢力は市民への武力支配を続け、政治家と結託して汚職に手を染め、石油利権の奪い合いを演じている。

 サナテレビは「彼らがパレスチナの大義≠利用するのは、自分たちの汚職や略奪的な行為、そして社会の基本的な問題から関心をそらすためだ」と明確に指摘している。

 今パレスチナ民衆の訴えに応え、中東やイラクでも、労働者や市民が闘いを広げている。サナテレビは、戦争を許さず命と人権が守られる社会へと変革する闘いの中で、パレスチナ民衆との連帯を訴えている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS