2024年02月23日 1810号

【議会を変える、市民と変える/ビル用地に農地なみ格安課税 違法訴えた裁判 5月に判決/向日市議・杉谷伸夫】

 2年前、一人の市民から市議会議員である私にあった訴えが出発点でした。「日本電産が、農地転換された広大な土地を購入し、建設が始まっているが、未だに(極端に税率の低い)農地課税のままだ。向日市に事実関係を質して是正を求めて欲しい」と。訴えの通りなら、おそらく数千万円もの税の優遇になります。

 市に説明を求めましたが、「個別の課税に関しては守秘義務がある」ことを盾に全くらちがあきません。そこで住民監査請求を経て、2022年9月に固定資産課税の違法確認を求める訴訟を京都地裁に起こしました。それから約1年半、オンラインでの争点整理が続けられ、2月1日に最初で最後の法廷での口頭弁論が行われました。私たち原告2人の陳述もあることから、20人を超える傍聴者が来てくださり、この裁判に対する関心の高さが示されました。

 問題の土地は、開発行為が原則禁止されている「市街化調整区域」に変則的な手法を使って土地区画整理事業を行い、日本電産(現ニデック)が大規模な開発を行えるようにしたもので、開発を急ぐ企業の都合により道路や上下水道など公共施設の整備が十分整わない段階から、ビル建設をどんどん進めていました。私たちは、ビル建設に着手している土地を「農地」としてケタ違いの格安課税を行うことは違法だと訴えたのです。

 被告向日市の主張は、わかりやすく言えば「道路や上下水道などの整備が整わなければ、農地課税のままでよい」というものです(もう1つ主張がありますが、問題にならないと考えるので省略します)。しかし開発を急ぐ企業の都合でビル建設を進め、その土地をビル用地として使用しているのだから、「農地」として格安課税するのは全く間違っています。

 陳述の最後に、私が述べたことがあります。それは、この違法な課税を突き止めることができたのは、向日市という小さな自治体に、特定の法人1社が巨大開発を行ったという特別な条件が重なったからだということです。例えば同じことが京都市で行われても、市民が明らかにすることは極めて困難です。ですから明らかになった違法な課税行為に対しては、「行政の裁量」を広く認めず厳しく是正させ、行政の裁量で安易に優遇を行うことに対して歯止めを掛けていただきたい、と。

 判決は5月16日の予定です。良い報告をしたいです。
MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS