2024年03月08日 1812号

【内閣支持率、歴史的どん底/嫌われ岸田に維新が助け舟/万博強行へ、なりふり構わず】

 岸田政権がいよいよ追い詰められている。内閣支持率が20%台を割り、不支持率は80%を超えた。そんな死に体政権に、野党を自称しながら助け舟を出す連中がいる。大阪・関西万博を中止または延期されては党の存亡にかかわることになる日本維新の会だ。

強烈な拒絶反応

 岸田内閣が“歴史的”低支持率にあえいでいる。報道各社の最新世論調査をみると、自民党が2012年12月に政権復帰して以降の最低値を軒並み更新。「退陣水域」といえる10%台も複数あった(「毎日」14%、「時事」16・9%)。

 不支持率はさらにすさまじい。6割超えは当たり前で、「産経・FNN」調査は72・5%(前回調査から6・1ポイント増)、「毎日」調査に至っては82%(同10ポイント増)をマークした。内閣不支持率が80%を超えるのは、毎日新聞社の世論調査史上、初めてのことだという。

 各調査の「質問と回答」からは、岸田政権や自民党政治に対する強烈な不信感が見てとれる。自民党の裏金問題における岸田首相の対応は「評価しない」が85%、「評価する」は10%だった。「政治とカネ」の問題を繰り返してきた自民党は体質を変えられると思うかの問いには、「変えられない」81%が「変えられる」14%を圧倒した(いずれも「朝日」調査)。

 政策面でもほとんど支持されていない。岸田首相が「決断」したとされる自民派閥の解散について「信頼回復につながると思う」はわずか10%だった(「思わない」が76%)。内閣の目玉商品といえる少子化対策の支援金制度の創設にしても「評価する」は28%にすぎず、「評価しない」60%を大きく下回った(いずれも「読売」調査)。

 能登半島地震への対応をめぐってはどうか。「評価する」は計46%で、「評価しない」の計52%を下回った。岸田文雄首相個人の人気は壊滅的で、「次の首相にふさわしい人」にあげた人は1%しかいない(いずれも「毎日」調査)。


あの文科相を擁護

 自民党の政党支持率も低迷が続く。「毎日」調査の16%は、第1次安倍内閣時代の07年8月(17%)を下回り、自公政権下での最低値である。立憲民主党の支持率は16%で、自民党と並んだ。日本維新の会は13%。最も多いのは「支持政党なし」28%だった。

 一連の世論調査結果は岸田政権の命運が尽きたことを物語っている。自公連立政権自体が人びとに愛想を尽かされたのだ。そんな政権の延命を願っているとしか思えない行動をしている連中がいる。党首(馬場伸幸代表)自らが「第2自民党でいい」と公言した日本維新の会だ。

 直近の例をあげると、立憲民主党が提出した盛山正仁文部科学相の不信任決議案に反対したことだ。盛山文科相は旧統一教会とずぶずぶの関係にあり、しかもそれを隠してきた。そんな人物が宗教法人を所管する文科省のトップでいいはずがない。事実、「毎日」の世論調査では「交代させるべきだ」が78%に達した。

 それなのに、維新は盛山を続投させた岸田首相の擁護にまわった。世論を敵に回すことは明白なのに、なぜそのような選択をしたのか。答えは一つしかない。維新が推進してきた大阪・関西万博を予定どおり開催するためである。

市民無視の極致

 大阪・関西万博について、岸田首相は2月1日の衆院本会議で「来年4月からの開催に向け、オールジャパンで着実に準備を進める」と語った。万博の準備に労働力や資材をとられて能登半島地震からの復旧作業に支障が出るとの見方を否定し、「延期、中止の必要はない」と強調した。

 しかし、会場建設費などの関連経費がふくらみ続けることもあり、万博開催を疑問視する世論が増えている。財界や自民党内部からも、中止や延期、規模縮小の声が上がり始めた。どん底状態の岸田首相が究極の人気取り策として「政治決断」を行うことは十分あり得るといえよう。

 維新はこれを警戒している。岸田首相を追い詰めて、大阪万博の中止や延期を口にされたら一巻の終わりだ。万博中止・延期論者が岸田の後釜に座るようでも困る。だから、ひん死の岸田政権を支え続ける必要がある、というわけだ。

 昨年11月、維新は23年度補正予算案に賛成し、成立を手助けした。万博関連経費約750億円が盛り込まれたことを評価しての行動だった。「万博絶対」の維新が同様の行動を今後もくり返すことは明らかだ。

 物価上昇、賃金低迷、公的負担増のトリプルパンチで市民は青息吐息の生活を強いられている。なのに、自公政権も維新も自分のことしか考えていない。目糞鼻糞の連中はまとめて退場させるしかない。 (M)

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