2024年03月22日 1814号
【一人からでも闘う2024非正規春闘 ユニオンで要求し大幅賃上げを】
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マスコミが春闘で大きく取り上げる、連合の自動車総連は、2024春闘で基本給を底上げするベースアップの統一金額要求を見送った。統一額を掲げないのは6年連続。物価上昇と実質賃金の低下を踏まえとして、各労働組合で要求水準を設定するとした。
2月21日、ホンダとマツダが労働組合の要求に満額回答。スズキは3月8日、組合要求を上回る月額10%以上の賃上げを回答。トヨタも満額妥結だが、組合の要求額は職種や職位に応じ17種類(7940〜2万8440円)にも分割されている。資本側が完全にイニシアチブを握っているのだ。
これと際立った違いを見せたのが、全米自動車労組(USW)の昨秋の協約改定闘争だ。6週間のストライキ闘争を打ち抜き、▽28年4月までに25%の賃金引き上げ▽階層賃金制度の廃止▽最高の賃金水準になるまでの期間を8年から3年に短縮▽臨時工を一定期間後に正社員化―など大きな前進を闘いとった。
注目すべきは、大幅な賃上げとともに、正規労働者だけでなく、若年層や非正規雇用労働者の待遇改善を正面に掲げ実現させたことだ。
非正規春闘の拡大
日本の24春闘の最大課題は、全労働者の4割を占める非正規労働者の大幅賃上げだ。23年に始まった非正規春闘が今年さらに規模や地域を拡大して展開される。
昨年2月、個人加盟労組で構成された非正規春闘2023実行委員会が非正規春闘≠フ開始を宣言した。
急激なインフレは、非正規労働者の生活を著しく悪化させ、賃上げの実現は死活問題となっている。なかでも日常生活に必須の光熱費や食料品の物価急騰は、非正規労働者など低所得層の生活に深刻な影響を及ぼしている。インフレの下で、賃金が上がらなければ実質賃金は下がり、生活水準は一気に低下する。ただちに命を脅かす問題もつながりかねない。これが非正規春闘の出発点だ。
昨23春闘では、非正規労働者を組織する16のユニオンが結集し、300人が33社に対し一律10%賃上げ要求を掲げて交渉。靴小売最大手のABCマートではパート従業員約5千人の6%賃上げ回答を、総合小売大手のベイシアではアルバイト従業員約9千人の5・44%賃上げ回答を得た。
これらの事例は、一人または少数の非正規労働者がユニオンに加入して非正規春闘で要求し、団体交渉やストライキで闘い、当該企業に勤める非正規労働者全体の賃上げを実現できたものだ。一人でも少数でもユニオンで闘えば、全社的な賃上げを勝ち取れることを示した。さらに、一人で始めた非正規春闘に同じ職場・会社に勤める労働者が共感してユニオンに加入する動きも起きている。
なか卯で15%賃上げ要求
今年3月1日、非正規春闘実行委員会に参加するなかまユニオンは、株式会社なか卯に対して「15%の賃上げ」などの春闘要求を提出。なか卯は、すき家なども展開するゼンショーホールディングスの子会社。全国に460店舗以上を展開する外食チェーン店だ。
組合員のAさんは、アルバイトスタッフとして9年間働いてきたが、時給は最近10円アップしてようやく1090円。大阪府の最低賃金1064円に張り付いた金額だ。
Aさんが働く店舗は忙しく、売り上げはたびたび最高額を更新している。Aさんは店舗の衛生管理の向上などを熱心に会社に進言してきた。まじめな姿勢が逆に疎まれ、他店舗に長期の応援に送られたこともあるが、なかまユニオンとともに交渉し、そうした問題も解決してきた。Aさんは、売り上げや働きに見合った賃金を得たいと考え、15%の賃上げとともに査定のやり方を明らかにすることなども求めている。
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ユニオンは、日本の労働組合の中では少数だが、最近の労働争議の大半を担っている。これまで非正規労働者の個々の権利闘争を中心に闘ってきたが、非正規春闘を通じて職場全体の非正規労働者の労働水準に影響を及ぼす力を示し始めた。画期的なことだ。
立ち上がった非正規労働者に連帯しよう。団体交渉・ストライキを組織し支援し、ともに闘って大幅賃上げなど要求を実現しよう。
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