2024年03月22日 1814号
【みるよむ(688)2024年3月9日配信/市民がボイコットするイラクの地方自治体選挙】
|
2023年12月18日、イラクでは地方議会選挙が行われた。しかし、公平な選挙となる展望が全くない中で投票率は極めて低かった。サナテレビは、この選挙の実態を報道した。
イラク国営放送は今回の選挙の投票率を約41%と報道している。いつもの国政選挙の時の数字よりも低いようだが、これでも過大だ。
高等選挙管理委員会は、人口4300万人のイラクで投票者数が600万人だったことを認めた。サナテレビは、この数字からの推計では「投票率は17%を超えなかった」とする。それでも実態を全く反映していない。実際の投票率は5%以下という。ほとんどだれも投票していないのだ。
サナテレビは、これまでも占領後の国政選挙や地方議会選挙について報じてきた。不正、違法な選挙が展開され、汚職政治家、利権のための議員と議会が作り出されてきた。今回も選挙管理委員会自体が「政権政党の影響により選挙結果の改ざん」を行っている。
番組は、不正選挙に反対する闘いを取り上げている。SNS上で「選挙をボイコットせよ」のハッシュタグが広がった。投票所に何十人もの市民が集まり、大きな横断幕を出して選挙のボイコットを呼びかけた。
共感よぶ不正選挙抗議
抗議の声は広く市民の共感を呼んだ。11月初め、選挙の宣伝キャンペーンが始まると、バグダッドのサドル・シティでは、政党「法治国家」の指導者ヌーリ・アル・マリキの何メートルもある大きな選挙宣伝写真が破り捨てられた。他の選挙ポスターも同様だ。不正選挙とそこで選ばれる汚職政治家たちに対する市民の怒りが伝わってくる。
イラクの選挙は、国会議員選挙でも地方議会選挙でも、公平に行われていない。政党やイスラム政治勢力の利権のために利用されている。サナテレビは腐敗と暴力支配に明け暮れる政治を変革しようと訴えている。
(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)
|
|