2024年03月29日 1815号

【「私はここだ! Hope is in ourselves」/ほとばしる心の叫び/「月桃の花」歌舞団が新作/川崎プレ公演】

 3月3日、川崎市平和館で、「月桃の花」歌舞団の8年ぶりの新作ミュージカル「私はここだ! Hope is in ourselves」のプレ公演を行いました。
 印象に残ったことは2つ。

 一つ目。私はZENKOユース参加団in沖縄(2/10〜2/12)に引率参加しましたが、そこで見た、感じた沖縄と、今回のステージがぴったりと重なったことです。

 物語は若者3人がタイムスリップして沖縄戦の時代に行き、そこで骨から生き返った住民に出会う話です。骨たちが歌います。「骨になりはて 時を経て いくさの嵐がまた迫る/怒りむなしく 引き立てられる/地の底埋もれて闘えと 海底沈んで闘えと」。最後に、「死んだ人間を大事にしない世の中は、生きた人間も大事にしない」と叫びます。

 私は、遺骨が埋まっている沖縄南部の山が削られているのを目の当たりにしました。骨たちの叫びをそこで聞いた気がしました。

 もう1つ印象に残ったことは、若者の演技です。

 上演後の感想アンケートに「多彩な出演者による演技とも素ともつかない表現がリアルに人の生命の尊厳を映し出し、若者の苦悩がまさに『いくさゆ(世)』であることのリアルを表出していました。希望のわく舞台になると思います。フレッシュな若者たちに拍手!! のびのびと演じてください」とありました。

 個別のキャスト練習でも、コンビニのバイトでたばこの名前を全部覚えろと言われけんかしてやめたこと、学校での理不尽な出来事、自分が生きていていいのかと夜眠れなくなることなど、それぞれが生きづらさを語りながら、自分と役とを重ねてつくってきました。その積み重ねがあり、本番は、自信を持って演じていました。それは、作られた演技でなく、彼ら彼女らの心の叫びと私は感じました。

 若者が、そしてすべての人が沖縄とつながり、生きていく希望は自分たちの力にこそあるんだと気づくことができる公演です。

 ぜひご来場ください。

(関東「月桃の花」歌舞団 神子幸恵)

◆関西プレ公演 4月7日(日)14時半開演 大阪市立淀川区民センター (参加費)500円

◆本公演 5月18日(土)18時開演 大阪市立東成区民センター (前売り)一般3000円/高校生以下500円/学生・障害者2000円



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