2024年04月05日 1816号

【未来への責任(395)改めて日本政府断罪したILO】

 2月9日、ILO(国際労働機関)の「条約および勧告の適用に関する専門家委員会」(以下、専門家委員会)は、2024年年次報告書を公表した。今回の専門家委員会報告の特徴は、ILO第29号強制労働条約(日本批准、1932年)に関して、「技能実習生プログラム」と「戦時性奴隷制と産業強制労働」を取り上げたことだ。

 専門家委員会は、技能実習生問題についても「強制労働に相当し得る技能実習生の労働基本権侵害と虐待的な労働条件が根強く存在する」と指摘した。01年ダーバン宣言は「植民地主義が人種主義、外国人排斥など…今日の社会的経済的不平等を続けさせる要因」と指摘したが、過去の強制労働がいまだに克服されていないことが、現代日本の「強制労働」と言える技能実習生問題の「要因」であると厳しく指摘するものである。「強制労働は決して過去の問題ではない」と東京総行動に結集し、労働組合や争議団の仲間と共に闘ってきたことの意義が改めて証明されたのだ。

 専門家委員会は「戦時性奴隷制と産業強制労働」について日本政府に対して繰り返し勧告してきた。96年報告では、戦時「慰安婦」は条約に違反する性奴隷制と指摘し、97年には、戦時適用除外との日本政府の主張を明確に否定した。99年報告では、産業強制労働を初めて取り上げ「大規模な労働者徴用は、この強制労働条約違反」と指摘。その後も、犠牲者の年齢、時間の経過を考慮し請求に応えるよう(01年報告)と繰り返し表明し続けた。

 しかし、日本政府は勧告を無視し続け、「強制労働」否定に躍起となってきた。15年7月の「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録に際しては、あえて「forced to work」という用語を用い、「我が国代表の発言における『forced to work』との表現等は、『強制労働』を意味するものではありません」(岸田外相・当時)と、強制労働条約にいう「forced labor」(強制労働)ではないと強弁。21年4月には「『募集』、『官斡旋』及び『徴用』による労務については、いずれも同条約上の『強制労働』には該当しない」との政府見解を閣議決定した。この閣議決定は、「群馬の森」の「記憶、反省、そして友好」追悼碑の破壊につながる司法判断にも大きな影響を及ぼした。

 今回、専門家委員会が改めて日本の産業強制労働を第29号強制労働条約違反として取り上げたことにより、こうした日本政府の「強制労働」否定の主張が国際的に全く通用しない国内的プロパガンダにすぎないことが白日の下にさらされたのだ。

 被害者は高齢であり、もはや一刻の猶予もない。

 今度こそ、専門家委員会の勧告に従い、「彼ら彼女らが求める解決を達成するために適切な措置を遅滞なく取るよう努めること」が求められている。歴史否定を許さず、日本社会から「強制労働」を一掃しなければならない。

(日本製鉄元徴用工裁判を支援する会 山本直好)
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