2024年04月12日 1817号

【万博会場で爆発事故/それでも「子ども招待」と吉村知事】

 大阪・関西万博の会場となる夢洲で、可燃性ガスによる爆発事故が起きた(3/28)。屋外イベント広場のトイレの溶接作業をしていたところ、火花が地中にたまっていたガスに引火し、爆発したとみられる。この事故で、コンクリート製の床およそ100平方メートルが破損したが、けが人はいなかった。

 恐れていた事態が起きてしまったということだ。ごみや残土の処分場として埋め立てられた夢洲には、メタンガスなどの可燃性ガスのほかダイオキシンなど有害物質が大量に埋まっている。それなのに、万博協会や維新府政・市政はまともな対策を行わないまま、万博工事を強行してきた。

 夢洲はカジノ・IRの建設予定地でもあるが、カジノ予定地は大阪市が土壌汚染対策や地中障害物撤去を行うことになっている。この矛盾を社民党党首の福島みずほ参院議員が昨年11月29日の参院予算委員会で追及していた。

 「カジノは土壌改良をするのに、万博会場は単に飛散防止で、有害物質の上に物を建てる、これはなぜですか」「来場者の健康は守られるんですか。子どもたちが来るのに、安全守られるんですか」

 福島議員は「メタンガスに火が付いたら、爆発をします」と具体的に指摘していた。だが、政府の回答は「必要な措置を行っている。万博開催時に危険はない」(自見英子万博担当相)の一点張り。こういう連中に安全を委ねてはいけないことが今回の事故でいっそう明らかになった。

 何より驚いたのは大阪府の吉村洋文知事の反応だ。爆発事故翌日の3月29日、能登半島地震で被災した子どもや保護者を万博に無料招待することを検討中と発表したのである。維新流の人命軽視、ここに極まれりというほかない。 (O)
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