2024年04月19日 1818号

【議会と結んだ市民運動の力/画期的な介護保険料値下げを実現/平和と市民自治のまち大津をともにつくる会 岩崎晴彦】

 滋賀県大津市議会は3月25日、介護保険料1割引き下げを含む2024年度予算案を可決。新年度から保険料は値下げされる。引き下げを求めた署名・議会請願など広範な市民の声や運動と、議会での要求・質問の両輪で、全国でも例のない成果を生んだ(本紙1811号)。運動の一翼を担った「平和と市民自治のまち大津をともにつくる会」岩崎晴彦さんに市民の動きと思いを報告してもらった。

 中川てつや大津市議が代表をつとめる「平和と市民自治のまち大津をともにつくる会」の定例会を3月20日に開催しました。この定例会の柱は、2月の会に続き、大津市で初めて介護保険料の10%引き下げを実現した意義を共有し、2月市議会を傍聴した感想や要望を交流することでした。

学習から署名739筆

 会では、全国の自治体で介護保険料改定に向けた検討作業が行われていた昨年10月、「平和で豊かな枚方を市民みんなでつくる会」の手塚隆寛さんを講師に招き、「介護保険のしくみと問題点」という学習会を行いました。目的は、介護保険制度の理解を深め、運動の力にすることでした。

 参加者から「介護保険など社会保障は公費で賄わせるべき」の声も上がり、青年も「支援が必要な人が利用しているにもかかわらず利用対象者を制限したり負担額を上げたりひどい。所得に応じて決められる保険料は所得の多い人に比して少ない人の負担が大きい」と意見や感想を述べました。介護保険料を値上げせず介護利用者の生活を守る要請署名運動をスタートさせる学習会となりました。

 今年1月には提出という実質3か月間の署名運動。会の通信読者からの返送署名や1月まで5回行った街頭署名などで、目標の500筆を上回る739筆を集めることができました。

 街頭署名に参加した青年は振り返って感想を述べています。「署名活動は回数を重ねても難しさは感じているけど、この人は書いてくれないだろうと思う人にも声をかけた時に書いてくれたり、うれしい気持ちになれる。介護保険料を下げてほしいという市民の思いが伝わってくる。自分たちがそういう声を伝える橋渡しになっていると感じた」

要請に実質値下げを回答

 1月22日、会から7名が参加し要請とともに署名を提出しました。市は介護保険課長など3課長を含む6名が対応。市民の要望に耳を傾け、実質値下げを明言する回答を引き出しました。

 署名運動を進める一方、議会傍聴にも力を入れ、毎回市民7〜8人が参加しています。11月、市議会一般質問で、中川てつや市議が介護給付費準備基金55億円を活用し介護保険料を引き下げるよう求め、市から3年間で1億円を投入すれば標準保険料を月額30円下げられるとの答弁を引き出します。値下げが可能との展望を感じました。

 12月には第9期大津市介護保険事業計画案が示され、パブリックコメントが実施されました。会として積極的に意見を出そうと確認。「準備基金55億円も積み立てられている。市民の生活が物価高のために厳しい中、次年度の介護保険料を引き下げてください」などの意見が市に寄せられました。

 さらに、中川市議も紹介議員の「介護保険料引き下げを求める請願」が保守系会派も含め可決。市民の運動と世論がついに議会と大津市を動かしました。

 介護保険料の値下げを求め、実現した会の活動。市民の要望や意見が出される毎回の定例会、街頭での行動や学習会そして議会傍聴を通じた学びが運動の力となっています。

 署名運動などを担った仲間、そしてそれに応えてくれた市民一人ひとりの思いを重ね合わせ、大きな成果を生み出し、人を気遣う大津市政の実現に向けた大きな一歩となりました。





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