2024年04月26日 1819号
【みるよむ(693)/2024年4月13日配信/イラク平和テレビ局in Japan/米軍と宗派の私兵による/ミサイル攻撃をやめさせよう】
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イラクでは米軍とイスラム政治勢力の宗派の私兵が互いにミサイル攻撃をかける事態が多発し、市民の犠牲者が増えている。2024年2月、サナテレビはこの問題に焦点を当てた。
米軍などのイラク占領から20年以上が経った。占領軍は撤退したはずだが、実際には米軍基地は今も存続し続けている。
一方で、イラン・イスラム共和国の強い影響を受け反米を掲げるシーア派をはじめとした宗派私兵や民族主義勢力の私兵も、イラクでは大きな力を持つ。
この双方の軍事勢力が攻撃をしかけ合っているのだ。
宗派私兵のミサイル攻撃では「1家族5人の民間人が犠牲になった」など痛ましい被害が頻繁に起こっている。こうした攻撃は、昨年10月のイスラエルによるガザ侵攻の直後から増加した。米軍基地や米国大使館などが「100以上のミサイルや無人機による攻撃にさらされた」という。
米軍の「反撃」は1月のヌジャバ私兵組織(シーア派の反米強硬派)に対する攻撃以降エスカレートした。シリアの領内でも、イラン支持勢力の私兵やコッズ部隊(イラン革命防衛隊)の「85以上の標的を空爆」した。ミサイル施設や無人機、司令部、そして「人間」が標的である。
◎攻撃の背景に石油利権
それにしても、なぜこのような事態になるのか。サナテレビは「ミサイル攻撃のほとんどは、経済的特権、たとえば投資プロジェクトの獲得が目的だ」と指摘する。石油資源の利権をめぐる勢力争いが背景にある。
こんな利権のための殺し合いがイラク国内で展開され、多くの市民が犠牲になっている。だが、政府は阻止するためのまともな措置を何ら行っていない。
サナテレビは、市民の命と暮らしを守るために、このような軍事攻撃の応酬をやめさせようと訴えている。
(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)
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