2024年04月26日 1819号

【ターリバーン支配下のアフガニスタンを訪れる/秘密の学校で学ぶ女性たち/「ここに来るのが楽しみ」】

 アフガニスタンでタリバン(現地語でターリバーン)政権の支配と闘い続けるRAWA(アフガニスタン女性革命協会)。2月27〜3月9日、「RAWAと連帯する会」の4人が現地を訪れた。参加した桐生佳子さんに報告を寄せてもらった。

 入国前、現地の知人からターリバーン対策として空港からアバヤ(全身を隠す黒い服)を着ておいた方が良いというアドバイスを受けていた。到着したカーブルはまだ雪が残り、霙(みぞれ)や雪が降る天候だった。訪問先のいくつかを紹介する。

 一つは全くの「秘密の学校」。これを運営するのは届け出ているNGO。セキュリティー対策が厳しく、女性限定で、連帯する会共同代表の清末愛砂さんと私が訪問した。カーブルの中心を少し離れたところにその「教室」はあった。

 元先生だった人の家の1室を借りて行われていた。入り口にはたくさんの履物。壁や窓沿いにぐるりと女性たちが座っていた。赤ん坊を連れた人もいてお乳をあたえながらの参加だが、ごく普通のことらしい。私たちが女性だけということで、すっかり気を許しているように思える。ノートを見せてと言うと、次々にノートが集まってくる。どのノートもとても丁寧にきれいに書かれていて驚く。若い人が多かったが中には少し年長の人もいて、「みんなここに来るのが楽しみ」と、一生懸命勉強していた。

 二つめ。昨年ターリバーンは「美容室」を閉鎖した。全国で約6千人の美容師が仕事を失い、女性たちが心置きなくおしゃべりや情報交換のできる場がなくなってしまった。そこですぐさま始めたのは「地下美容教室」。一人の美容師が先生になってヘアやメイクの方法を教えていた。本当にこっそりと。ここでスキルを身に付けた人は、自分の家で近所の人たちにヘアセットやメイクをしてあげて小銭を稼ぐという。

大量虐殺は忘れない

 三つめは、バーミヤンの洞窟(ケイブ)に住んでいる人の話を聞き取ったこと。ここには最下層の人たちが住むという。彼女たちの望みは、もちろん文字を覚え読み書き計算ができることだが、「将来はここから出たい」「洞窟でないところで住みたい」「働きたい」と言っていた。

 雪の峠を越え、バーミヤンの西、ヤカオランに行った。ここにはアフガン連帯党により「ヤカオラン虐殺追悼碑」が建てられている。2001年1月、この地でターリバーンによるハザラ人の大量虐殺があった。碑は様々な困難の中で建立したと昨年連帯党メンバーが話していた。今またターリバーンの支配下で住む人々は恐怖の中で暮らしているのだろう。私たちもこの虐殺のことを決して忘れてはいけないと思う。ターリバーンに見つからないようにと、大急ぎで帰路についた。

女性デー ガザ連帯も

 四つめ、RAWAの国際女性デーの集会に参加した。全く秘密裏に行われたまさしくアンダーグラウンドの地下室集会。セキュリティー上参加者も限定され、今の状況を端的に表していた。若い参加者が多く、驚く。力強い発言、詩の朗読、世界からの連帯メッセージ、清末さんのスピーチなどがあり、最後は清末さんと私も壇上に上げられ、チリの革命歌『ベンセレーモス』(われらは勝利する)をみんなで歌って終了。

 RAWAもアフガン連帯党もガザのことをよく理解し、パレスチナとの連帯の気持ちを話していた。アートコースを学ぶ少女が描いた絵に、瓦礫になったガザの町をパレスチナの国旗を掲げて歩く少女の姿があった。ここに集まる子どもたちにも、パレスチナのことがきちんと伝わっていることが分かった。

 *   *   *

 RAWAと連帯する会は設立20周年となる今年、ターリバーンの支配が強まる中でのアフガニスタンの人権状況、人びとの闘いについて現地の人から直接話を聞く機会をと、スピーキングツアーを計画した。6月12日の広島集会から、大阪、京都、名古屋、長野、室蘭、札幌、東京と続く。

 多くの方にご参加いただきたいと思います。

(RAWAと連帯する会 桐生佳子)



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