2024年05月03日 1820号

【市民の声・運動と議会での追及で/23区唯一の介護保険料引き下げを実現/東京都足立区議 土屋のりこ】

 4月13日、介護保険問題をテーマに、「土屋のりことのしゃべり場」を開催しました。

"お礼に来た"と高齢男性

 終わりがけに、唐突に事務所に現れた高齢の男性は、「土屋のりこ通信」を握りしめなんとか事務所に駆け付けた―というご様子。自己紹介を、との呼びかけに開口一番「介護のことやっていただいてお礼に来た。ここら皆、感謝している。私は昭和5年(1930年)生まれだが、生きるか死ぬかで介護は大変な問題」と、滔々(とうとう)と語られました。運動や議会活動に対し「ありがとう」とお礼を言っていただくのはこちらこそありがたく、議員冥利(みょうり)に尽きると心から思いました。

 今回の足立区の介護保険第9期計画では、保険料は基準額がマイナス10円と異例の値下げを実現できました。政府原案が第1段階から3段階までしか値下げを言っていないところを、区独自の判断として政府案に加えて4段階、5段階、つまり非課税者はすべて値下げを実現できたのです。

 他の区はどうだったかと調査をかけたところ、東京23区で基準額が値下げになったのは足立区が唯一! 値上げ幅が「ゼロ円・変化なし」が2区のみあり、それ以外は押しなべて値上げという結果でした。

議会質疑と戸別訪問で

 介護保険の問題は会としても一丁目一番地の政策テーマとして取り上げ、陳情の提出や戸別訪問による署名活動など、8年の間継続して取り組んできた運動課題です。たかだか10円の値下げではありますが、されど10円。値上げではなく引き下げられたことは画期的であり、他区が押しなべて値上げしている中でたった1区のみ値下げを実現できたことは、きちんと会の運動の成果として確認しておきたいと思います。

 第5段階以下の方たちは、税法上は非課税=税を課すことが困難と国が認める人たちです。そのような経済的に厳しいと社会的に認定されている方々にすら介護保険は「支えあい」と称して保険料を取り立てているのです。こんなおかしな制度はありえません。この点を繰り返し議会質疑等で追及し、地域を回ってはその根拠として「値上げしないで」という区民の方々の声を、署名として積み上げてきました。

 実際に地域を回れる会メンバーは多くはなく、署名も数として「多い」とは言いにくいかもしれませんが、議会質疑と区内を戸別訪問しての運動とを結び、区に対し保険料値下げを迫る力を作り出せたと受け止めています。

MDSらしさも共有

 そのほか、今回の「しゃべり場」には地域へのチラシポスティングから新たな方が3名参加され、また前回初参加の方々も継続して出席したりと、にぎやかな会合となりました。

 「最近家族が介護認定を受けた。認定が下りるまでの期間が長い問題をなんとかしてほしい」「介護保険料が適切に労働者に払われているのか、非常に疑問だ」「これだけおかしなことがたくさんなのに、政府は何も感じないのか、恥ずかしいと思わないのか」

 参加した方々から自由に意見を求める中では、政治への怒りの声が数多く出されました。そして、冒頭紹介した94歳の御仁。「戦争はしないでほしい。政治は生きることの基本だ。人間の根源だと思う。戦争にならないようにするのが政府の責任だ」。「土屋さんのところは平和課題の取り組みもやっているのが他の区議と違って新鮮」と、他の参加者からも言っていただきました。

 今回の「しゃべり場」は、介護保険の取り組みの成果を皆で共有し、また、MDS(民主主義的社会主義運動)らしい反戦平和・国際連帯の取り組みについても重要だと認識を共有でき、充実した場となりました。

 チラシを地域へ配布し、共感してくれる人びとを組織することで民主主義的社会主義の思いを広めることができると感じています。



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