2024年05月17日 1821号

【1821号主張/衆院補選自民全敗 これが民意だ/岸田内閣は即刻退陣せよ】

自公と補完勢力に審判

 4月28日に投開票が行われた衆院3選挙区の補欠選挙はすべて、午後8時の投票終了と同時に野党公認候補の当選が確実になった。

 島根県内では、1996年の小選挙区制導入以降、全選挙区を自民党が独占してきたが、今回初めて独占が崩れた。東京15区は、市民と野党の共闘で立憲候補が快勝。次点も元立憲議員だ。長崎3区でも、立憲候補が維新候補を圧倒した。

 特徴的なのは、自公両党だけでなく維新、都民ファースト、国民民主、日本保守党(右翼作家・百田尚樹らの新党)などの右派勢力もそろって沈んだことである。有権者は自公政権のみならず、その補完勢力にも厳しい審判を下した。

根源に戦争と生活苦批判

 岸田首相は、自民党各派閥の裏金問題で39人の議員の処分を発表したが、最も重い議員でも離党勧告のみ。岸田派の元会計責任者が有罪となったが、自身には処分すら行わなかった。

 市民生活は苦しさが続く。毎月勤労統計調査(厚生労働省)によれば、正社員など賃金は上昇したものの物価高に追いつかず、実質賃金は23か月連続マイナス。これだけ長期のマイナスは統計比較可能な1991年以降最長だ。2023年度平均の物価上昇幅は前年度比2・8%だが、生鮮を除く食料品に限れば7・5%も上昇した(総務省「消費者物価指数」)。生活必需品ほど値上げ幅が大きく、貧困層を直撃している。

 岸田政権は、裏金議員が税金を逃れる中、市民が納めた税金をくらしのために使わず戦争・軍拡、原発再稼働に垂れ流し続ける。大阪ではこれに維新による万博・カジノが加わる。

 補選の結果は、金権腐敗、市民生活破壊と戦争推進路線への怒り、根本的な政治変革への希望を示している。市民と野党の共闘の発展を作り出す必要がある。

世界の反戦闘争と結び

 世界の市民の怒りは今、パレスチナ・ガザで虐殺を繰り返すイスラエルとその支援政府・企業に向けられている。米国、フランス、英国など各国で学生らの大規模な抗議行動が拡大している。「大量虐殺の真っただ中にいる時に、卒業の心配をするなんておかしい」と米国の学生は参加の動機を語る。全米で2300人もの学生が拘束されたが、抗議は虐殺を止め不当な占領を終わらせるまで続く。

 日本でも、東京の憲法集会3万2千人をはじめ全国で多くの市民が不戦の意思を示し声を上げた。

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は「今すぐ戦争止めよう!対話で平和を!スピーキングツアー」(5/25〜6/2)を開催する。岸田政権による「琉球弧―全国の軍事化」を止める闘いが発信される。岸田政権を今すぐ倒し、政治変革で戦争路線を止めよう。

   (5月5日)
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