2024年05月17日 1821号

【パレスチナ・ウクライナ即時停戦!国際オンラインパネルから/全米の大学で“イスラエルと手を切れ”/大統領選、政策決定への影響力を発揮する闘いを/DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)国際委員会 シーン・キムさん】

 ウクライナで、パレスチナで、戦闘が続き多くの市民が犠牲となっている。東アジアでは軍事緊張が高まっている。パレスチナ・ウクライナ即時停戦! 東アジアの軍事化を止めようと国際オンラインパネルが4月29日、開催された(主催―ZENKO<平和と民主主義をめざす全国交歓会>・ZHAP<ZENKO辺野古反基地プロジェクト>)。イスラエルのジェノサイドを擁護する米国バイデン政権に対し、DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)はどう闘っているのか。パネリストDSA国際委員会アジアオセアニア小委員会共同代表シーン・キムさんの発言を紹介する(要約は編集部。関連記事5面)。



 資本主義は支配階級のためのものであり、民主主義的社会主義に置き換える必要がある。DSAはそれをめざす活動家の政治組織だ。

 パレスチナ連帯の闘いで2つの顕著な動きがある。1つは全国の大学でのテント籠城(ろうじょう)闘争。2つ目は、労働者の闘いだ。イスラエルに供与される兵器や弾薬の製造、運搬の仕事をする労働者が労働を拒否する。これは、停戦を受け入れさせるうえで究極の力を持っている。

 大学ではキャンパスにテントを張り、泊まり込んで大学側に要求項目を受け入れさせる籠城闘争が取り組まれている。ニューヨークはじめ全国で起きている。DSAやYDSA(青年DSA)の支部メンバーが重要な役割を担っている。

 運動が広がったのは、コロンビア大学での成功があったからだ。学生は大学当局に対し、ジェノサイドからの投資撤退、供与資産の公開、逮捕された学生の告訴取り下げを求めた。約20の有力大学の基金は5000億ドル(約75兆円)に上り、米国最大のヘッジファンドの一つとなっている〈イスラエルのジェノサイドに責任のある企業に投資されている可能性がある〉。

 大学当局は警察を導入し学生を排除した。ニューヨークだけで500人以上の学生が逮捕された。大学側が学生の動きを恐れているのだ。確かに、私たちの行動に無関心な学生も、反対する学生もいる。だが、10月7日以前からパレスチナ連帯の闘いに取り組んできたが、今、目の前に示されるジェノサイドの悲惨さはこれまでと違っている。

 どう呼びかけるか。パレスチナ問題は黒人の人権や学生の貧困など学生が感じている差別や支配につながる問題だと訴えかけることだ。カリフォルニアのハンボルト州立大学は貧しい学生が多い。多くの学生が闘いに参加している。

 学生の闘いを労働者が支援していることも重要だ。UAW(全米自動車労組)やUE(全米電機労組)などの中には支持声明を出す組合もある。最近の出来事だが、警察が逮捕した学生の搬送のために使おうとしたバスの運転手は運転を拒否し、学生に連帯を示した。

 パレスチナ問題は労働者や市民生活に重要な影響を与える問題だ。軍産複合体は生産体制を維持しようとしている。議会は約1000億ドルの対外支援法案を通過させ、イスラエルに300億ドル近い資金を提供する。本来米国内の市民生活に費やされるべき税金だ。

 こんなバイデン政権にどう圧力をかけるか。

 大統領選では、民主党の予備選挙で白票投票キャンペーンを行なっている。イスラエル支持の政策を変えない限りバイデンには投票しないと訴え、「投票先は未決定だ」との運動を広げてきた。データベース化された名簿をもとに電話かけや戸別訪問、他団体との連携に努力した。コネチカット州などでは12〜15%の白票を得た。

 今日の報告はDSAが取り組んでいる全面的な闘いの一部に過ぎないが、日本、韓国、沖縄の闘いに学び、連帯を強めていきたい。東アジアの軍事緊張を見る場合、米国の軍事戦略を見なければならない。その政治プロセスに影響を与えることができる私たちの責任でもある。

 最後まで、平和を求めて、パレスチナ解放を求めて。

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