2024年05月17日 1821号

【イラン イスラエル間の軍事衝突を非難する/社会主義労働組合・イラン共産党・イラン労働者共産党ヘクマティスト他】

 イランとイスラエルの間の戦闘をイランの社会変革をめざして闘う左翼組織はどのように見ているのか。社会主義者や共産主義者が連名で出した声明(要約)を紹介する。両国の戦争挑発、戦争拡大の代償を払うのは大衆だと両国を非難し、イランの労働者や市民にイラン・イスラム共和国(以下、イスラム共和国)の打倒を呼びかけている(〈 〉は編集部注)。

 イランとイスラエルという反動国家間の軍事紛争拡大は、中東地域における本格的で反動的な戦争に火をつけるおそれがある。これは両国とこの地域の人民大衆の利益に反するものだ。破壊と殺戮(さつりく)、住居の喪失と物価高以外に何ももたらさないからだ。

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 この反動的戦争の一方の側には、イラン社会を破壊のどん底に導き、階級分断を深める専制的でテロリスト的・反労働者的・反人民的な宗教政府であるイスラム共和国の資本主義政府がある。この政権は中東地域の代理人〈ヒズボラなどのイスラム主義組織〉とともに、パレスチナ人民を守ると偽りの主張をしている。

 もう一方の側には、パレスチナ人民とイスラエルの自由を求める人びとの敵である人種差別主義の占領者イスラエル政府がある。

 10月7日にハマス〈イスラム抵抗運動〉がイスラエルを攻撃。多くの民間人が死亡し、紛争が拡大した。イスラム共和国とその代理人は、この攻撃を勝利とみなした。ネタニヤフ首相率いるイスラエル政府は爆撃、ミサイル、大規模な地上軍攻撃でガザ地区を徹底的に破壊。3万3000人以上が死亡したが、その大半は子どもと女性だった。ほとんどの西側諸国、特に米国はイスラエル政府による一般人の殺害を「イスラエルの自衛権」とみなし、人種差別主義の占領政府を全面的に支持した。

 6か月もの間、ガザ住民の包囲と飢餓政策は世論の反発と広範な社会的闘争に直面。西側諸国政府はイスラエルに停戦受け入れの圧力をかけることを余儀なくされた。

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 国際舞台で孤立したイスラエル右翼政府はイランを戦争に引きずり込み、ガザ問題から目をそらさせようとイスラム政権の大使館を襲撃し、司令官を殺害した。イランは味方の離反を避けるために、イスラエルへの直接軍事攻撃を選択した。

 これにより、地域の情勢は変化し、軍国主義と戦争の拡大のおそれがある新たな状況に入った。

 資本主義諸国家の支配下にある世界は、複雑に絡み合った危機に巻き込まれている。ウクライナとガザでの戦争、米国の覇権の衰退と国際関係における孤立の結果、中東で増大する政治的・軍事的危機は、現代世界をますます戦争と軍国主義へと駆り立てており、その結果は殺人と大虐殺、そして破壊に他ならない。

 すべての左翼勢力、共産主義者、進歩勢力、そして崇高で自由を求める人びとの使命は、戦争挑発を暴露し、イスラエルとイスラム共和国を含む反動的で宗教的な戦争挑発政府の政策と対決することである。

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 イスラム共和国は、自由を求めるイラン労働者・市民の敵である。この政権は、戦争状態を口実に社会における弾圧の範囲を拡大し、抗議運動を押しのけようとしている。戦争政策の継続は社会のさらなる破壊につながり、戦争になればインフラの破壊や虐殺、物価の上昇、住居喪失など、大衆がその代償を支払わなければならないだろう。

 労働者、自由を愛する市民の皆さん。私たちは団結と抵抗をもって政権とその好戦的な政策に立ち向かわなければならない。

 イスラム共和国を打倒しよう。自由万歳、社会主義万歳。

  2024年4月14日
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