2024年05月24日 1822号

【春闘アンケートで職場要求を集め、労働環境改善に前進/尼崎武庫川園労働組合 兵庫・西宮市】

 西宮市にある社会福祉法人尼崎武庫川園(6つの施設と相談支援事業所など総合福祉施設)の労働組合は、2024春闘の団体交渉に向けて要求アンケートに取り組み、職場の環境改善を進めている。尼崎武庫川園労働組合・執行委員長の山川広美さんに、報告を寄せてもらった。

アンケートの声を団交に

 私たち尼崎武庫川園労働組合は、春闘団体交渉に向けて組合でアンケートに取り組み、▽更衣時間▽定年延長―などの設問で、職場の声を集めてきました。

 更衣時間については、これまで自主的に早く出勤し、仕事の準備をするのが慣例となっていました。アンケートでは、多くの職員から「早めに来て着替えている」「日誌や看護記録などの連絡事項を確認してから仕事を始めるので、自主的に早く仕事場に入っている」との回答が寄せられ、時間外労働の実態が明らかになりました。

 寄せられた職員の声を基に、団体交渉で更衣にかかる時間を勤務時間とすることを要求しました。

 また、団体交渉では、利用者の送迎ワゴン車の運転を担当している支援員らから「運転やバス添乗の職員は、出勤時間が出発時刻になっている」「特に送迎車は“事前の安全のための車両点検”の時間も必要ではないか」との発言があり、仕事前の準備時間が切り捨てられていることを指摘。

 これらの点についても、適法な労働時間の打刻ルールの確立が必要であると訴えました。

時間内更衣の試行を実現

 法人は当初、「更衣時間については各事業所で違いがあるため、一律に取り扱うことは困難」と後ろ向きでした。

 しかし組合から、「着替えが時間外になっている職員が相当数いるところに問題がある。そこを解決しなければいけない」「今、対応しなければ、過去にさかのぼり請求されるとリスキーな問題になってくる」と法人と交渉。介護・障がい者支援の職場では、更衣は業務上の必要性があります。

 人手不足の現場では、仕事に責任を持つためにも「更衣」を勤務時間とし、余裕をもって引き継ぎ事項の確認ができる労働環境を作る必要があります。

 現在、「試行期間」ではありますが、出退勤時の各5分を更衣時間とし、(更衣の必要な)各部署で実施することを実現しました。

声集め働きやすい職場へ

 アンケートには他にも「65歳まで定年の引き上げを実施してほしい」と強い要望が寄せられました。

 現在、尼崎武庫川園では、60歳定年後は非正規職員として再雇用されています。しかし今、高齢者雇用に関する制度改正が次々と進められており、65歳まで正規職として働けるようにすることは、人手不足が常態化している福祉職場では重要な意味があります。

 法人に検討を求めたところ「前向きに考えていく」という回答がありました。

 その他、「夜勤が1人体制のため、まとまった休憩が取れず疲労がたまっている」「ナースコールのない部屋で休憩がしたい」との意見もありました。

 早速、数人の職員に依頼して、深夜の夜勤職場の実際の動きの記録をつけてもらい、そのデータを基に各施設長と改善に向けた協議を進めているところです。

 課題は盛りだくさんですが、職場環境の改善を進めることを軸にしながら、組合員を増やす地道な活動を、今後も続けていきたいと考えています。



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